レビュー一覧に戻る
ウォーク・ハード ロックへの階段

ウォーク・ハード ロックへの階段

WALK HARD: THE DEWEY COX STORY

96

per********

5.0

エンタメ至上主義的「発掘良品」 その2

ミュージカル映画で隠れたエンタメ傑作といえばこれ。 アカデミーなんとか賞をとった『ウォーク・ザ・ライン』のパロディ映画。 続編が初作を越えることは珍しいけどもまったくないわけではないが、 有名作品をパロディにしたバカ映画が本家を越えるというのはあり得ない。 ・・・はずなのだが。。。 かなり無名な作品なのでレビューの数は当然少ない。 ところがレビューしている人たちは口を揃えて絶賛している。 その絶賛ぶりが半端じゃない。 一体何が起こっているのか確かめたくなって観たのだった。 !!! すごい。 いや確かにすごい。 っていうか、俺的には本家よりはるかにこっちの方が面白い。 いや、面白いどころか、 ミュージシャンの伝記映画では命ともいえる劇中楽曲が 圧倒的に本家より優れてる(んじゃないか)と思うのだ。     *   *   *   * 映画が始まるなり、いきなり強烈な洗礼を受けてしまうのは、 小学生のデューイがブルースを歌う黒人の爺さんたちに囲まれて 見よう見まねで初めてギターを弾きがたりするシーン。 そこで示す≪奇跡としかいいようのない天賦の声とギターの才能≫には 腹がねじれるくらい笑わせてもらった。 日本語としてちょっと微妙に意味が非文な感想なのだが、 そうとしか表現できないほど凡人の域を超えているのだ。 中学生のデューイの姿形もみるからに非凡だ。 だがここでも、劇中では何のツッコミも説明もなされない。 ほとんど投げやりにしか思えない冒頭からの子供時代のシークエンスには、 妖気にも似た、ただならぬオーラがひしひしと漂っている。 なんと自信に溢れたバカ映画なんだ! 大人になったデューイ。 本家『ウォーク・ザ・ライン』でもお馴染みのレコード会社でのオーディションシーン。 審査員からボロカスにけなされた後に与えられた15秒のラストチャンス。 リハーサルも打ち合わせも無しに唐突に始めたオリジナルソング。 その曲こそが無名のデューイコックスを一夜にしてスターダムにのし上げた、 珠玉の名曲「ウォークハード」! いや、マジで凄いって、この曲。 普通に現実にビルボードのNO1ヒットナンバーだと言われても納得するよ。 そして、この曲を聞いた時の審査員たちの反応があまりに傑作すぎるのだ。 一瞬のリアクションなので画面コマ送りでゆっくり味わって欲しい。 その他にも、「告発通り有罪」「テイク・マイ・ハンド」 「ダーリン」など、 ご機嫌なナンバーが目白押し。 『ドリームガールズ』を彷彿とさせるような名曲ぞろいだ。 さらに当時活躍していた伝説上のアーチスト(のような人たち)も続々登場。 エルビスプレスリー、ボブディラン、ビートルズ・・・。 いじり方もかなりマニアックで洋楽好きの人にはかなり楽しめる。     *   *   *   * 凄いのは音楽だけじゃない。 人間ドラマ的な点でもかな~り面白い。 まだデビューする前に出会った奥さん。 「あなたの才能を信じてる。きっと成功するわ。  どんなにつらくても私が支えるから」 結婚した後、いきなり態度が豹変する。 「なにをくだらないことばっかりやってるの。  暇なら家事を手伝ってよ。  あんたなんか絶対売れるわけない。  才能なんてないんだから、もうあきらめなさい」 って・・・、ありがちだなぁ。 エレジーだなぁ。 一番圧巻なのは、お父さんとの親子愛だろう。 デューイが子供の頃事故でお兄さんを殺してしまって以来、 ずーっうと「お前が死ねば良かったのに」と憎まれ口を叩き続けた父親。 最後の最後に親子間の長年のわだかまりをとろうと現れたデューイに対して この日のために準備していたというお父さんがとった驚くべき行動・・・。 な、な、 なんとおおおおおーー! そ、それは、 いくらなんでもすごすぎるぞ!!!

閲覧数468