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+1 プラス ワン vol.2
2008年10月11日公開

+1 プラス ワン vol.2

1032008年10月11日公開

ace********

3.0

深夜の肴

仕事終わりに飲むビールは一年を通しておいしくいただけます。 春は夜桜を愛でて、夏は星に囲まれながら・・・ でも、ビールもいいけどバリエーションのあるおつまみもいい。 今時期は夏が過ぎてお鍋が何日もビールのお供に楽しめる季節。 「おつまみ」といえば高校生の頃、特に用もないのに 親しい友人3~4人で夜通し馬鹿話ばかりしていた記憶があります。 お酒がおいしく感じられなかった頃、記憶にあるのはコンビニに売っていた「おつまみ」。 さきいか、チーズ鱈、あたりめ、ビーフジャーキー・・・ 昼間に食べてもおいしく感じないのに、 どうしてまー、あーも深夜になると恋しくなるのでしょう(笑) この「+1」というタイトルは非常に秀逸だと思います。 タイトルの「+」は数多ある商業映画に対し追加、付加するという意だけでなく、 「深夜のおつまみ」的存在、つまり映画のストーリーや映像という主要な面をお酒の部分 に例えるのなら、「展開の仕方、表現」という地味なスパイス的な側面を いかに明確に短編だからこそ鮮やかに魅せるかという意がある(と勝手に解釈します)。 端的に言えば起承転結を何を用いて展開していくか、 その手法にこだわっているorその部分を魅せている。 この部分は映画の誤魔化しのきかない部分であり、 非常にセンスと作者らしさが現れるところなんですよね。 時にはストーリーとか映像よりも・・ 秋のレイトショーという設定も素敵で、 どうせなら観る前にワインとチーズなんぞ差し入れがあっても(笑) 余談がすぎてしまいました。文字数が足りそうにないので、 気になった作品だけ紹介させていただきます。(爆) 。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。 『決心をすること』/利重剛 京子は「何か」を決心し、夜明け前の道をひたすら歩き、あるアパートへと到着し 言葉にならない‘想い’を言葉によって縛られながらも必死にある女性に伝える。 ストーリーは無いに等しいけれど、 タイトルとそのタイトルに込めた劇中の表現が秀逸でした。 「決心をすること」 何かを決心しそれによってストーリーが展開するわけではなく、 何を決心したのかそのものを不明瞭にしながら、「決心をすること」 そのものを表現することに重きをおいている 「決心をすること」とはどういうことなのだろうか。 「髪を切ろう」「家を出よう」「会社を辞めよう」「告白をしよう」「ダイエットをしよう」 ‘決別’という言葉があります。 何かを決めるために何かに別れを告げることです。 決めることには別れが伴う。 ある時は決めることは別れることそのものだったりする。 自分から別れをつげるのは人に対してもモノに対してもつらいものです。 愛別離苦。 後ろ髪を引かれながらも前を向いて一歩を踏み出す。 ある種の悲壮感がそこには漂う。 しかし、悲壮感だけではなくそこには思い描いた希望も存在する。その割合は様々で、 とにかく悲壮感と希望は混在する。 この作品ではその割合は半々で拮抗している。 拮抗していればしているほどその様は実に切実。 ・冬の朝の寒さに口唇を震わせながらも、必死に伝えようとする様 ・早朝の時間帯に遠くに聞こえる車の走る音、都市の裏側の一角。アパートの玄関 ・言葉にならない‘想い’を言葉によって縛られながらも伝える様 ・アパートのドアの開閉の時の金具音 ・階段を降りる時のカツカツした足音 ・冬の寒い朝に降り注ぐ陽の光 『靴ヶ浜温泉コンパニオン控え室』/緒方明 コンパニオンの控え室での一幕。 その一室にはこの間まで一緒に働いていた女性の姿がない。 しかし、前日に女性の葬儀を終えた彼女達はいつものようにお店に出る準備をしている 雑談しながら身支度をする女性、まだ寝ていて起こされる女性 亡くなった女性に頭のどこかで想いを馳ながらいつもどおり営業をしようとしている そこに、亡くなった女性の妹が酔った勢いで転がり込み、散々迷惑をかけながら、 終いには姉の愚痴を言い出す始末 彼女を説得するうちに昔の話を蒸し返しながら 亡くなった彼女への想いをそれぞれ口々に吐露し始める。 短編の正統な作品だと感じました。 17分という短い時間に一つの話を展開させ収束させる。 短編にはよくある、会話のどんちゃん騒ぎ。 話の抑揚がつき展開のバリエーションも増える でもそこには各々のキャラクターの確立が必要。 それにコンパニオンを持ってきたのは面白く、 また控え室を持ってきたのもキャラの確立や人間関係を引き立たせている 案の定、文字数が足りなくなってしまいました~。 もしよろしければ続きは下記の項へ。

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