レビュー一覧に戻る
コトバのない冬
2010年2月20日公開

コトバのない冬

942010年2月20日公開

ken********

4.0

失ってしまった思い

閉鎖された遊園地のブルーシートで覆われたメリーゴーランド その中で浮かび上がる二人の黒いシルエット お互いを確かめ合うその姿は、美しかった セリフになっていない登場人物たちの会話。 日常生活のリアリティがそこにはあった。 ただ見えてくるのは北海道の雪に覆われた風景。 長く伸びる雪道、牧場の馬たち、会話するたびに白い息がこぼれる。 コトバを発しない孤独な男とのふとした出会いから、なにか通じるものを感じた二人が互いに惹かれあう。 事故によるものとはいえ、二人の思い出が欠落してしまった主人公は何事もなかったように生活していくのだろうけど、新しい生活の為に札幌へ向かう途中に車を止めて遊園地を見たとき、何かを感じていたのだろう。 そして、これから断片的にかもしれないけど、思いだしてしまうこともあるのだろう。 そんなことを思うと一層切なく余韻の残る映画となっている。 待ち続ける孤独な男が公衆電話から電話をかける、その電話は決してつながらない。 つながったその時その男は声を発するのだろうか? 受話器を置き小銭が落ちたその後、コトバにならない声が思いを伝えていた。

閲覧数526