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グラン・トリノ
2009年4月25日公開

グラン・トリノ

GRAN TORINO

PG121172009年4月25日公開

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5.0

いつものイーストウッド映画の「完成形」

偏屈な老人であるイーストウッド、それに積極的に関わってくる等身大の善人である隣人とやんちゃな老親友達、そこはかとなく暴力的な雰囲気を醸し出しながらも時間の経過はゆっくりな田舎の日常といった、イーストウッド監督兼主演作特有のテンプレを感じさせる舞台の作りであるが、本作は、流石というかやっとと言おうか、それらのテンプレにおいて作り出せる映画の一種の答えであろう。 あらすじ自体は偏屈な退役老軍人と、その車を盗もうとしたアジア系のこれまたイーストウッド作品でよく見る少年との交流、その過程においての老人の心境の変化を描いたといったよくあるものであるが、そこに本監督特有のセリフ間の非常に長い無音の時間と、長いカット回しが加わることで生々しい現実感が現れる。 本作のテーマは継承という行為の意味とはというものであろうと思うのだが、このことを念頭に置いて、恒例の流しっぱなしEDの本作版である、グラントリノが一本の長い道を走っていき、いずれ見えなくなってもテーマが流れる限り映像は定点で映し出されるED映像を見ていると老人が主役の映画、さらにハッピーとは必ずしも言えないものである筈なのに、どこか「グットウィル・ハンティング」のような爽やかな自分は何にでもなれるのだという希望が伝わってくるようなそんな気持ちになれる。 今までにいわゆる「はずれ」の部類のイーストウッド映画で痛い目を見たことがあるという人には、ぜひ鑑賞をおすすめしたい映画であると思う。

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