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クリスマス・ストーリー (2008)

UN CONTE DE NOEL/A CHRISTMAS TALE

監督
アルノー・デプレシャン
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  • みたログ 194

3.57 / 評価:61件

不協和音が奏でる調和した旋律

  • hin******** さん
  • 2011年9月27日 19時24分
  • 閲覧数 600
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

 映画の前半、本作は状況説明に徹している。そこでは登場人物たちの心境はほとんど描かれず、ヴュイヤール家の内実がまったく読めないので不気味な印象が残る。とは言え仲が悪い程度のことはわかるので、彼らが一ヶ所に集まるとどんな化学反応を起こすのかが映画の核となり、本題への期待が高まる。さらに、ヴュイヤール家の人々がジュノンの元に集まる様子もリズミカルな音楽が背景にあり、ワクワク感も増す。ここまでの展開で本作は良い映画に分類することができる。膨大な登場人物を短時間で絶妙に描写し、さりげなく本作のテーマを明示した上で、物語の始まりを、キャラクターを動かすことで観客に告げているからである。
 物語が始まっても、登場人物たちの心理描写は極力排される。冒頭で、犬猿の仲と表現するには甘すぎるぐらい険悪な関係にあったエリザベートとアンリであったが、表面上の会話はしている。アンリに関しては母親とも見た目は問題なくコミュニケーションを取れている。しかし、笑顔で彼らが語っているその内容は、その表情には到底似つかわしくない冷徹なものだ。彼らの本当の心境は"独白"という形で表現される。そこでの彼らの表情は恐怖を感じるほどの憎悪に満ちており、思わず顔を背けたくなるほどだ。それ以外は至ってシンプルに家族の営みが描かれる。つまり、本作は徹底してヴュイヤール家を客観的に捉えているのだ。それはときどき鍵穴から彼らを覗いたようなショットであったり、深刻なシーンにもかかわらず陽気なバックミュージックを流したり、というような演出からも表現されている。そして最もそれが顕著だったのはラストシーンの台詞だ。そこではエリザベートが「これが気に入らないなら、夢だと思いなさい。私たちはこれで構わないから。」というような台詞を口にする。要するに、あくまでも彼らを客観視することで、逆にヴュイヤール家の人々は自分たちを主観的に捉えているという表現が浮かび上がり、感情がどうあれ、家族のつながりというものは根本的に引き離し難いことが表現されているのである。

詳細評価

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