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Mr.ボディガード/学園生活は命がけ!

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3.0

傑作『スーパーバッド』の前日譚?

ただでさえ日本ではビデオスルーなハリウッド・コメディな上、フラット・パック主演(オーウェン・ウィルソン)+学園ものと、スルー条件を満たしに満たした08年の未公開作。 ハイスクール新入生のギーク3人組が、入学初日から上級生のいじめ(凶悪!)ターゲットにされてしまい、湾岸戦争の脱走兵でホームレス暮らしのオーウェン・ウィルソンをボディガードとして雇うという話。原題のドリルビット・テイラーはオーウェン演じる役名ね。 監督のスティーヴン・ブリルはアダム・サンドラーの『リトル★ニッキー』(01 傑作!)『Mr.ディーズ』(02 つまらないが興行的には成功)を経て、サンドラーから離れた『トレジャー・ハンターズ』(04)でミソをつけた。07年にTVムービーでThe Weekendというのがあるが未見。飛ぶ鳥を落とす勢いのアパトー組への参加はサンドラー繋がりか。 そういうわけで本作は、製作ジャド・アパトー&いまや全米No.1コメディアンの脚本セス・ローゲンの映画ということなんだろう。ギーク三人組のデブ(トロイ・ジェンティル)、ヤセ(ネイト・ハートリー)、超ギーク(デヴィッド・ドーフマン、怪演!)というメンバー構成は、まんまアパトー製作/ローゲン脚本の『スーパーバッド』(07)におけるジョナ・ヒル、マイケル・セラ、クリストファー・ミンツ=プラッセ(マクラヴィン!)と重なり、彼らの新入生時代として見ることもできる。デブの髪型も同じだし。 劇中の高1は日本では中3ということもあり、『スーパーバッド』あるいはフラット・パック的なセックスネタ・童貞ネタはなりを潜め、焦点はいじめに当てられる。三人組が受けるいじめ描写が強烈でリアルな高校生活の「痛み」をそれなりにともなっている一方で、オーウェン・ウィルソンのパートで脚本がやや弱く、そこが映画全体の弱さにもなっている。いや十分素晴らしいけど、オーウェンのポテンシャルはこんなもんじゃないでしょう(当初脚本にあったという中東ロケのオープニングが実現していれば!)。三人組は『スーパーバッド』組と比べると落ちるか。レスリー・マンやダニー・マクブライドをはじめ脇役は健闘。 なので傑作/佳作の類ではないんだが、注目はエドモンド・ダンテス名義で原案にクレジットされている学園映画の開祖ジョン・ヒューズ! 『恋しくて』(87)以来だから実に21年ぶりの学園映画への復帰(?)である。どこまでヒューズの貢献が残ってるか不明なところではあるが、いじめの辛辣さや、ドーフマン演じる超ギークのキャラが「マクラヴィン」というよりはアンソニー・マイケル・ホール的な清潔感を感じるキャラであるところ、ヤセの恋の相手がアジア系なところなど、ヒューズ的。『フェリスはある朝突然に』(86)のワンシーンが引用されてたり、学園映画ファンには嬉しい。 ともあれ、「弱虫」だからと腕力でいじめてくる相手に、知力でなく腕力でも抵抗しろという潔いメッセージには好感が持てるし、クライマックス「親の居ぬ間のパーティ」での対決はカタルシス満点!短いエピローグを挟んでエンドロールに流れるギークバンドによるギークナンバー(WeezerのPhotographね)はギークとギークだった者には感涙の瞬間!!! これ、オーウェン・ウィルソンというスター主演なのでわかりにくいけど、実はヒューズのDNAを受け継ぎつつ、いま主流のハリウッド・コメディともリンクした学園映画の王道的作品だよ。いやはや『スーパーバッド』の次にこれが来るってんだから、アパトー/ローゲンは(映画の出来はどうあれ)大したもの。もう一本フラット・パック抜きでお願いしたい。

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