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ウォッチメン
2009年3月28日公開

ウォッチメン

WATCHMEN

1632009年3月28日公開

hick

4.0

事前知識有りだと違って見えた。

【再鑑賞で印象が変わった】 公開当時は予備知識無しで「ふ〜ん」で終わった作品。むしろ悪趣味を感じハマれなかった。しかし、原作の概要を調べてから久しぶりに見てみると面白い。意外と原作に忠実に作られていた事に驚いた。そもそも原作自体が既に子供向けでは無く、もはやスーパーヒーローとして描いていない。ある意味悪趣味で風刺が効いている。それを忠実に再現するためのR15指定も納得。大人になってから見ると印象がだいぶ変わった。「Mr.インクレディブル」はここから来ていたのかと感動すらした(笑)。 【監督】 スナイダー監督の起用も納得。選曲の渋さ、暗めの色彩、ショッキングな画作り、"神"の描き方。バッチリと監督の演出がハマっている。 【各キャラの個人的な印象】 捉えきれていないかもしれないが、記録のため記述。 ・コメディアン 『破綻した社会』のパロディと言われる存在。やる事なす事破滅的。そんな彼を利用する政府自体がもはやヴィラン。世の中の闇を映し出す。 ・Dr.マンハッタン そんな闇を抱える社会に彼も使われた存在であり、運命を握る『神』に近い。劇中では人間に関わる事に疲れたと言っているが、人間でいる事に疲れたともとれる。そう思うと全てが他人事なのも納得。 ・ロールシャッハ クズたちの犠牲者。世の中を悲観し皮肉っている。彼の過激さとは裏腹に独特な正義感も感じる。 ・ローリー / シルク・スペクターⅡ 大人に翻弄された次世代。しかし、いつの時代も「子は宝」であり『希望』の象徴。 ・オジマンディアス 過激な平和主義者? ・ダニエル / ナイトオール Ⅱ 平和が作り出した"機能不全"。文字通りE.D.であり、過去の自分を取り戻した結果「♪ハレルヤ」のシーンを迎える彼が熱かった(笑)。また「どんなに暗い世界でも"明かり"を味方につけ、全てを見通せる」というゴーグルに込められた意味がカッコいい。もう彼で一本映画を作って欲しいぐらい好きだった。…それにしても監督は「ハレルヤ」の楽曲が好きなんだなぁと「J.L.スナイダーカット」を見た後に思った。 【関係性が面白い】 そんな彼らの背景を描く事に注力していた事が印象に残った。各キャラのメタファーが生み出す化学反応も面白い。ダニエルとローリーは「希望にも反応しなくなった平和ボケ」、ダニエルとロールシャッハは「社会が覚醒すると皮肉屋が黙る」、ローリーとマンハッタン「破滅の中で希望を見た神の救済」、コメディアンとローリー「破滅的な社会が生んだ希望」などなど妄想が進む(笑)。 【ただ、】 マンハッタンがある"奇跡"に気づく事が重要なキーになるのだが、彼の無機質さも相まって結構唐突な転機に感じた。その奇跡の存在を理由にするあたりが、監督の「バットマンvsスーパーマン」の"マーサ"にも近いと思ってしまう。監督が脚本にも関わっているのか? 【総括】 予備知識無しだと、人物たちのセットアップに時間を費やしている今作は期待ハズレで終わってしまう。一方、原作コミックの特徴を理解していれば社会風刺が面白く、キャラクターの関係性も今作の魅力だった。そして、ダニエルが覚醒してからの物語の加速度はヤバい。「今作の出来事がコミックの元ネタ」になるという逆転した結末も面白かった。なにより「Mr.インクレディブルのボブ=ナイトオールのダニエル」が一致してしまい、応援してしまう。 …ん?最後のコミック作家はあの後「Mr.インクレディブル」を描くのか!?…(笑)。

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