原作とは別物?
- han***** さん
- 2008年12月24日 12時30分
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東北大学川内萩ホールで行われた試写会に行ってきました。
原作を読んで、映画を観ると、物足りなさを感じます。ミステリーではなく、家族愛を描いた映画として見た方が良いと思います。
この作品の主人公は兄「泉水(イズミ)」なのですが、私的に兄はストーリーテラーの役割であって、本当の主人公は弟「春」だと思っています。この物語は、父、母、兄、弟、それぞれの感情が丁寧描かれていて(原作は)じっくり読むとそれぞれに感情移入できる作品です。でも、映画となると2時間に納めるし、スピード感も大事になってくるし、感情移入の対象を1人に絞り込むべきだったと、思います。それは一番心の中の葛藤が強い「春」であるべきだったと。でも、残念ながら「春」の葛藤は子ども時代や、高校生の時のチラっとだけ。もっと「春」の苦しみを表現するべきだったと思います。でないと、ラストに繋がらない。説得力が欠けてしまってます。
兄「泉水」は探偵的な役割をしているのですが、それも中途半端で残念です。原作では「夏子さん」がヒントを出して、「泉水」が謎を解くのですが、映画では「夏子さん」が犯人喋っちゃうんですよ!繋がりに気がつくのは「泉水」ですが、私的には犯人にも自分で気付いて欲しかった・・・。一応主人公だし。
ちなみに伊坂作品は台詞に魅力があって、それを大事にしているな、と思いました。でも、この作品ではそれが裏目に出てしまったのではないでしょうか?小難しい台詞が多いので、スット入ってこないんです。(音響のせいか、「春」の台詞がよく聞き取れない・・・)原作読まないで観る人にとって、これは結構厳しいと思います。
あとは、流れ、ですかね・・・。テンポ?(夏子さんの写真はほどほどにすれば良かったと思いますよ。面白いんだけど、ちょっとくどい。他色々・・・編集の問題かな?)
でも、テーマを「家族愛」に絞って、そこを分かりやすく、丁寧に描いていて素敵でした。特に、2段ベッドでの兄弟のやりとりの場面と、サーカスのシーンはグッときました。(子役の2人に拍手です!)
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