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ヘンリー・プールはここにいる ~壁の神様~

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2.0

ネタバレ奇跡を信じるか?

「奇跡ってなんだ?」 さあ~、でもよく聞くよな。この映画も奇跡とやらがひとつのテーマになっている。 「もうひとつのテーマは死の恐怖だろうな。お前も死の恐怖を味わったことがあるんだってな? どんな感じだ?」 以前、イラクで自爆テロが頻発していたときに、ブッシュとかヒラリーとかがイラクに行かされていた。その時、日本でも公明党党首の神崎氏が行かされた。 「そうそう、TVニュースで放映されていたな」 あの時の神崎氏の真っ青な顔を見れば、死の恐怖が分かるだろう。恐怖そのものだ。 「お前の得意な屁理屈によって、死の恐怖の方程式を示してみろよ」 ではリクエストに答えて・・・。人間はエイリアンの脳を持つ、エイリアンがこしらえたアンドロイドだ。このアンドロイドの特徴は生殖行為によりアンドロイドのコピーを量産できることと、エイリアンの脳に完全とは言えないまでも、アクセスすることが可能なこと。 「人間は生殖行為を行い、善と悪を知ることができるということだな? 続けろ」 人間の生殖行為には、ある特徴がある。それは、より多くの子孫を残すために、性交が頻繁に行われるように仕向けられていることだ。 このカラクリは次のようになる; 所得に重点が置かれている、人間に所得性向が植えつけられている。 「所得とは、モノや金を手に入れたいという願望のことか?」 そうだ。所得に成功すると、ほうびが与えられる。精神医学で報酬系と呼ばれている脳内ホルモンの作用により、満足感が与えられる。満足感の所得だ。言い換えれば、人間は生殖行為でオーガズムが所得できる。 「神は人間にオーガズム所得の本能を与え、その見返りに子孫が残せている、とこういうようなことをお前は言いたいんだな?」 そう。俺が言いたいのは、この所得本能がありとあらゆることに作用しているのではないかということなんだ。 「お前の持論は、権力欲は人を所得しようとする本能の表れだっけか?」 マネー所得は金銭欲としてよく知られている。権力欲のカラクリはよく知られていないが、権力欲を理解するために、金銭欲でのマネーを人に置き換えるみてくれや。 人を支配しようとする根の深いところ、深淵で動いている脳のホルモンの働きは、権力欲として表層に現われてきているんじゃないかと、思うんだよね。 「領土拡張欲も、深淵を探れば、人間の生殖本能、オーガズム所得が基本的な方程式として作用しているということか?」 ところでこの映画では、医師が主人公に不治の病を宣告し、寿命が短いことを告げた。 「医師の誤診率は高いよね。誤診と主人公の所得本能との関係は?」 哺乳類の脳には、実際には存在していない、過去現在未来という直線の時間感覚が植えつけられていると想定してみてくれや。 「お前の持論は、オナニーによる過去の快感の記憶が、未来のより強い快感、つまりオーガズム所得の動機を生むんだったな?」 医師による死の宣告は、主人公の未来に予定されている、より強いオーガズム所得の消失を意味する。 「俺はもうじじいで、射精はできないが、それでもこの方程式は機能するのか?」 すると思うな。ようするに、死の恐怖とは、直線的時間の妄想という条件下における、未来に予定されている所得の消失なんだ。所得の概念は重要なんだよ。 「死の恐怖とは、未来における所得の消失か・・・」 おそらく、この方程式消失が、神崎氏のような死そのものより怖い、死の恐怖を実現させてしまうのだろう。 種の存続と切っても切り離せない、過去現在未来の直線と、より強い快楽期待の妄想の否定・・・これが主人公を自殺未遂に導いた、哺乳類の生殖方程式消失時の生物反応だろう。 「でも、この死の恐怖により何か、得られるものがあるんじゃないのか?」 あるからこそ、神崎氏はイラクに送られたんだと確信している。恐怖心の喚起により、脳があせるわけだ。 「あせる?」 脳は、脳に現在用意しているプログラムが、生命を維持するのに不都合があることが原因となって、生命体が恐怖を感じたんじゃないか、と、勘違いするんじゃないのかな? そしてあせるんだよ、今のままのプログラムじゃまずい、って。 「するとどうなる?」 脳が、脳内に使われないままに保存されている別のプログラムを用意する、現行のものより、かなり高邁(こうまい)なやつをね。 「ところで話は変わるが、最大の罪は弱さだったよな。恐怖心に負かされてしまうのは、弱さの証明じゃないのか?」

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