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ザ・バンク 堕ちた巨像
2009年4月4日公開

ザ・バンク 堕ちた巨像

THE INTERNATIONAL

PG121172009年4月4日公開

kor********

5.0

ネタバレ正義を貫くには“司法外”という現実

戦争だろうと、政治だろうと何でも映画にしてしまうアメリカ人の精神は個人的に好きでして利用する、利用されるドライな関係性はなかなか日本人の心には理解されにくいかもしれません。この映画も実在した銀行BCCIが基になっており、フィクションのようで限りなくノンフィクションに近いものを感じさせてくれる上質な社会派サスペンス映画といえます。こういうジャンルもなんだかんだ好きなんです。 平和な日本の中で住んでいますと“銀行”は「お金を貸してくれる~。預けられる~」という側面からでしか捉えることが出来ないのですが、企業の本質は紛れもなく「儲ける」ことです。むしろその本質を忘れてしまったら営利を目的とした企業とは呼びにくくなってしまいます。 作中に描かれた事項の中で私なんかは殺し屋を雇って行なう殺人と、銀行のお偉方が中心で行なった中東とのミサイル取引を同じ目線で見ていましたが、厳密に言ってしまえば前者は紛れもなく犯罪ではありますが、後者は場合によっては合法なのですね。そりゃそうか…戦争当事国に置いて「戦争」ですら合法ですし、戦争に使う武器を作ることも、それを買うことも合法。同じく銀行が預金者から集めたお金をどこかに投資し、増やす、というのは銀行業務の基本ですから、ミサイル開発に銀行が投資することも合法です。実際は大金目当ての軍事産業でのみならず、低所得者をターゲットにサブプライムローンなどで小金も稼ぐようになってしまいましたが。ぁ、口が悪いかな(笑) エンターテイメント性を美術館での壮大な銃撃戦(これはかなり強引です。フィクション度大な展開)や意外にも各国のロケーションに費やす点は、乱用のようにも捉えられてしまいそうなので評価が分かれそうですが、緊張感の引き伸ばしと芸術的観点と私は感じられたので全然オーライです!そんな綺麗なインターポールはいないであろうナオミ・ワッツよりも、アーミン・ミューラー=スタールの老練な演技が光りますね。 クライブ・オーウェンが演じたインターポール捜査官には勿論逮捕権はありません(銭形は漫画の世界だから~♪)不正に行なわれたであろうマネーロンダリングの裏にミサイル取引と邪魔者を消す殺人があったわけです。まぁ途中からは組織からも見放されてしまうのでいうなれば孤高のジャーナリスト的存在になってしまうのですが、その廃れ具合が最高にクライブに合う!疲れ切った表情といい、巨大な悪の裏に潜む真実に出くわす彼の無防備な顔こそ、もしかしたら人間の何か温かな希望にすがりたいという無垢な願望なのかもしれません。

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