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セントアンナの奇跡
2009年7月25日公開

セントアンナの奇跡

MIRACLE AT ST. ANNA

R15+1632009年7月25日公開

ish********

4.0

本筋は理解し易いが、それだけでは不十分

この映画は、郵便局に切手を買いにきた客がいきなり郵便局員に射殺されるところから始まる。ミステリー好きの僕にとってはワクワクする展開。この事件を取材した記者が警察に同行して局員の自宅に潜入すると、クローゼットには、イタリアで行方不明になっていた女神の彫刻「プリマヴェーラ(春)の頭部」があった。なぜ彼がこんなものを手にしているのか?殺人事件の真相は?これを解く鍵は、半世紀前の第2次世界大戦期イタリアにあった。 この映画は多少話が入り組んでいる。いや彫刻にまつわる話は理解しやすい。最後のシーンは、その彫刻を媒介して「奇跡」といって差し支えない感動を呼び起こしてくれた。また殺人事件の方も、郵便局で殺された人間が、戦争において途方もない悲劇を作り出した超本人だと理解できれば難しくない。しかし、第2次世界大戦におけるイタリアの情勢が分からなければ、所々で話が混乱するだろうし、細部にちりばめられた描写にも気づかないだろう。僕も映画を見終わった後、イタリアの背景を確認し、静かに映画を振り返ってみてようやく理解できた次第だ。そして、そこに表面だけでは捉えられないような深さを感じるのだ。 それにしても、一つ疑問が残る。パルチザンのあいつはなんで裏切ったんだ?これが今回の殺人事件の遠い引き金となっているからこそ気になってしょうがない。この点だけ心に引っかかっている。個人的な感想では、この映画の「奇跡」部分を強調しすぎるのは反対で、映画が分かりづらくなっているから安易にそちらの方へ流れていくのであろうが、これからこの映画を見る人はその複雑さを単純化せず、しっかりと受け止めて見てほしい。ちなみにこれは事実を基にしたフィクションである。 映画は長い。160分ある。学校では使えないだろう。盗品が奇跡の媒介となっているところから間違った印象を与えるかもしれないし、イタリアの情勢を理解してないと付いていくのが難しい映画となっていることから、やはりが学校向きではない。自分のものとして買うかどうかも不明。

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