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セントアンナの奇跡 (2008)

MIRACLE AT ST. ANNA

監督
スパイク・リー
  • みたいムービー 357
  • みたログ 1,104

3.62 / 評価:366件

「祖国が恥ずかしい」

  • kinchan3 さん
  • 2016年8月31日 9時49分
  • 役立ち度 5
    • 総合評価
    • ★★★★★

 昔のジャンボ機は大きなスクリーンがあるだけだった。
 飛んでいるところの地図が出ることがあるが、モスクワ近くになって「セント・ピーターズ・バーグ」という街の名前が出てきてびっくりした。
 すぐに分かったが、サンクト・ペテルブルグの英語をそのまま訳したのだった。外国語の地名に少し知識があれば、こんな馬鹿なことはなかったはず。
 これだとサン・ピエトロ大聖堂は「セント・ピーター大聖堂」ということになってしまう。

 この映画だって、「サンタンナの奇跡」とすべきである。セントアンナなんて村は誰にも分からない。
 サンタンナ・ディ・スタッツェーマ村で村民560人が虐殺された事件が元になっている。詳しくはネットで見てもらいたい。責任者は生き延びたそうだ。
 
 スパイク・リーだから一筋縄ではいけないと思っていたが、やっぱり2度観てようやく納得できた。
 最初に殺されたのが誰かもなかなか分からなかったし、どうしてこんなにというのもよく分かった。
 スパイク・リーもノンフィクションだけでなく、実話にファンタジーを加えることができるとは腕をあげたものだと思った。
 しかも、人間を一面的に描いていない。
 村人にもいろんな人がいるし、ドイツ軍だってさまざまだ。
 パルチザンだっていい人も悪い人もいる。
 そして、アメリカ軍にもいろいろいる。

 まあ、この映画の評価をする人にもいろいろいる。
 確かに長過ぎるのだが、では、簡単なエピソードで描いていいのだろうかと思う。こんな悲しいことの中に奇跡がありましたって。
 
 最初にジョン・ウェインの映画が見せられる。白人ばかりの軍隊だ。
 想像力がないのはむなしいが、今まで第二次世界大戦中の黒人兵のことは考えたことはなかった。移民の子どもたちの軍隊の死亡率が高かったことを知っているだけだ。
 こんなに黒人に対する差別がひどいとは、ちょっと想像力をもてば分かったことなのに、知らなかった。
 現代の戦争ものでは黒人も白人もかわらず、というか黒人がヒーローになることもあるくらいで、描かれている。
 しかし、黒人が初めてヒーローになったのは『夜の大捜査線』まで待たなければならなかったはずだし、『招かれざる客』をはじめとする多くのブラックムービーができるのはずっと後だ。
 「外国で偏見がなくて差別のある祖国は恥ずかしい」というところがあるが、黒人差別が一番ひどいのがアメリカだったのだ。
 シドニー・ポワチエは結局、僕らの大好きだったジョアンナ・シムカスと結婚している。リトアニア出身の女優だ。
 西部劇だと南北の確執が出てくるが、世界大戦では確執さえ出てこなかった。
 何よりも無視された黒人を描きたかったことがよく分かった。
 西部劇でも西部に黒人は多かったはずだが、描かれていない。
 捨てられるより、忘れ去られる方が辛いとは恋の話だけではない。
 
 虐殺については、その中から奇跡を描きたいというのも分かる。
 「奇跡だけが唯一確かなもの」だからだ。

 日本人は沖縄の人を除けば地上戦の悲惨さを知らない。
 戦車が近づいてくる音も知らないし、目の前で人が銃で殺されるのも見ていない。
 改めて戦争の悲惨さを知った。
 書きたいことはいっぱいあるが、ネットに情報が溢れているので止める。

 エンディングに似た映画があったはずだが、思い出せない。
 実話でなかったら、こんな絵に描いたような奇跡にはできなかっただろう。

詳細評価

物語
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