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扉をたたく人 (2007)

THE VISITOR

監督
トム・マッカーシー
  • みたいムービー 381
  • みたログ 1,166

4.01 / 評価:363件

私達は、何て無力なんだろう。

  • tengu3711 さん
  • 2010年12月20日 6時28分
  • 役立ち度 33
    • 総合評価
    • ★★★★★

ここの所、素晴らしい映画ばかり観ているせいか、

映画の鑑賞意欲が、モリモリ湧いて来てるのを感じる。

「いい映画」を観る事こそが、映画ファンにとっては、一番の薬なのかも知れない。

では、「いい映画とは、何か?」

それは、1にも、2にも、そこに「人間」が描けている事だと思う。


一見、滅茶苦茶そうに見える「キック・アス」も、実は、キチッと「人間」を描いている

それは、主人公の前半の描き方である。

ヒーローになろうとした青年は、一度、頓死寸前の状態で病院に運ばれている。

シビアな「現実」を、まずキチッと示して、主人公がリアルな「人間」である事を、

描いてるからこそ、物語が膨らんでいっても「違和感」を感じないのだ。


「扉をたたく人」2007年度、アメリカ作品。


これまた、素晴らしい映画である。

「人間」を描いた映画である。

リチャード・ジェンキンスは、「いい俳優」だと思ってはいたが、

この映画で、彼のベストとも言える演技が観れる・・・圧巻だった。

特に管理局の受付で、感情を爆発させるシーンは、

それまで「静」のイメージで押して来たのが、一気に溢れ出る「動」で、

いやはや、恐れ入った・・・見事な文句無しの名演である。


「私たちは・・・・・私達は、なんて無力なのだろう・・・・」


あの噛み締める様なセリフ・・・・考えさせられました・・・


昔、シチリア出身のイタリア人が、よく言ってた。

「シチリアって言うと、皆、マフィアって言う・・・もう、ウンザリ・・・・」

映画「シチリア!シチリア!」でも、マフィアは嫌われ者でした。

政治的偏見というのは、情報化社会の一番の弊害じゃないだろうか?

パレスチナ人だというだけで、「テロリスト」と誤解されてしまう青年。

その青年とシャンペを通じて親しくなる大学教授。


この映画は、9,11以降の、アメリカ知識人達の「喪失感」、

そして「生」への渇望というのが、アフリカ音楽を通して描かれていて、

実に解り易く、ストレートに伝わってくる。


「僕は、ここ20年くらい仕事なんてしてない・・・・「ふり」だけだ・・・」


このセリフも、印象的でした・・・物凄く、気持ちわかります。

日々の生活に追われ、埋没し、周囲のすべてに無関心で在り続ける事が日課になる。

そんな時、目の前に「理不尽な現実」が突き付けられた時。

我々は、どう対処できるというのか?


恐らく答えは、この映画の様な結果となるのであろう・・・・

青年の母親との「情の交わり」も見事だった。

「恋」とか「愛」とかじゃなくて、自分達の「無力さ」を知った上で、

ささやかだけど「幸せ」を互いに感じようとする姿に、心を揺さぶられた。

「同情」から「愛情」に変わってゆく経過を、ここまで真摯に描いた映画も珍しい。


実に、淡々としている様で、じっくりと丁寧に「人間」をあぶり出してゆく。

監督は、役者としても有名なトーマス・マッカーシー。

間違いなく、監督の方が向いてる・・・・見事な映画でした。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 泣ける
  • 悲しい
  • ロマンチック
  • 知的
  • 絶望的
  • 切ない
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