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扉をたたく人 (2007)

THE VISITOR

監督
トム・マッカーシー
  • みたいムービー 380
  • みたログ 1,166

4.01 / 評価:363件

心だけは開放されていたい

  • ぷっちん さん
  • 2011年1月11日 2時07分
  • 役立ち度 13
    • 総合評価
    • ★★★★★

素晴らしい良質の映画ですね。
ここ最近観た映画を日記に書いてますが、その中で印象の強い作品の一つです。
リチャード・ジェンキン演じる大学教授のウォルターの
閉鎖的な表情が目にも心にも焼き付いています。
この一人の男性の内面の変遷と移民問題が見事に融合されています。
素晴らしい構成、演出、脚本です。

ウォルターは恐らく亡くなった妻が生きがいだったのでしょうね。
全てに張りも喜びも感じられない。
人って、心を通わせる人があって充実した人生が生きられるのでしょう。
頼られる人がある事が活力になりますよね。

ウォルターは内側から外に向かってドアを叩いていたのでしょう。
それは、本人が意識しない心の奥底にあったものだと思います。
その心に扉越しに声を送っていたのは、移民のタレクでありモーナでした。



興味津々、ジャンべ(アフリカン・ドラム)に触れてはみるものの、
教えてほしいとはいえない。

タレクが「教える?」と声をかけた時 のウォルターが瞬間見せる嬉しそうな微笑み。
気難しいオヤジが(失礼!)こんなイイ顔するんだね。
本当にイイ笑顔でした。
背広姿の如何にも堅物な男には不釣り合いで不器用な演奏なのに
次第に心が解放されていくのが分かります。
リチャード・ジェンキンスの素晴らしい演技でした。

「忙しいフリ、働いてる フリに過ぎなかった」という彼。
見栄でもあるし、中身のない人生を認めるようで自分を保っていけなくなるから・・・。
でも、それを告白したら気が楽になるよね。

彼に本当の自分と向き合う事 を教えてくれた素晴らしい友人に何もしてあげられない。
彼の叫びは今までの彼ならありえないこと。
だって、扉を開けて、向こう側に出ていく力がなかった人だよ。

心の扉を完全に自ら蹴り破ったのは、
アメリカが行った善良な青年に対しての行為に対するウォルターの怒りでした。
「人の人生をそんな風に扱っていいのか!」
彼の内側から外への叫びでした。
そして、「ひとは何て無力なんだ!」という言葉は、
どこに向けられた言葉なのだろう。
タレクの母モーナの「どうしようもないのよ」という言葉と合わせて、
現実として人は無力を感じ、悲しみを引きずりながらも生きていかなければならないのです。
それには、耐える強さが求められるのでしょうね。

扉を開くにはそういった強さが必要であり、
タレクやモーナのように心を開けるひとが必要なんですね。

ウォルターとモーナの初老の恋も描かれていますが、
この年代になると抱えている悲しみが思い出と同じくらいあるでしょう。
互いにその傷を癒し合える間柄が愛に転じるのでしょうね。
この歳になるとこういった愛もありますよ。
モーナを演じたイスラエルのトップ女優ヒアム・アッバスは、
その瞳の底に様々な悲しみがうつってるようで、
リチャード・ジェンキンと共に深い演技が素晴らしかったです。

何だかんだ書いても、この二人に感情移入できたのは、年齢が近いからでしょうね。



追記

時々、洋画の民族問題を扱う映画を観ると 、
日本人である自分は安全なところから他人の苦労を傍観して楽しんでる
嫌な人間に見えてくることがありました。

でも、最近その映画が扱っている様々な問題は深刻に受け止めなければならいけれど、
映画としてその演出、演技は堪能してもいいのでは?と、
人によっては当たり前のことが、ちらりと考えられるようになりました。



日本国内で多くの人は日常生活において民族問題で悩む事もない。(自分の日常生活を基準にして)
これって、普通なの?
こういった国って反対に稀なのではないかと思う。

むしろ孤立してる?

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