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扉をたたく人
2009年6月27日公開

扉をたたく人

THE VISITOR

1042009年6月27日公開

hxr********

3.0

ジャンベの音色・・

ジャンベというパーカッション的な楽器を通して、老教授・ウォルターと 移民青年・タレクとが心を通い合わせていく過程はよい。 ジャンベの音色が、妻に先立たれたウォルターの孤独を癒し、 シリア出身ということで常に偏見にさらされ生きているタレクには 理解のある人を得た安堵と今後の勇気、希望を与える。 このように、「音楽が説得力をもたらす」展開は好きだ。 だが、タレクが不法入国者として逮捕、勾留されるあたりから ちょっとずつ中途半端な印象がつきまとい始める。 中東出身というだけで誰でも彼でもテロリスト扱いしやがって! と警察に怒るのは自由。 しかし劇中の警察の対応を見るかぎりでは、 不法滞在者を厳しく取り締まる姿勢としてさほど理不尽は感じない。 それなのにウォルターが「(救ってやれない)自分は無力だ・・」 と落ち込む一方で、 タレクはどことなく「こいつ、使えなねーなー」的な態度で 暗にウォルターを非難する雰囲気を出してくる。 このタレクの態度の方にこそ、私は理不尽さを感じてしまった。 ウォルターが身元引受人としてタレクらをアメリカに招き入れたか? そうでもないかぎり、他人は他人ではないか。 それ以上の過剰な期待をしてはいけない。 なれなら肉親が・・・とばかりに登場してくるのがタレクの母だが、 彼女の存在が作品に深みを与えそうで与えず これまた中途半端だったように感じる。 彼女のウォルターとのロマンスが成就すれば また展開は変わったのだろうが、 なんだかあやふやなままフェイドアウトしてしまう。 序盤の展開がとてもよかっただけに、 この終盤の流れがどうにもいただけなかった。 最後はウォルターがあらゆる無念さを込めて ジャンベを叩き続けるのだが、 着地点なきジャンベの音色は無性に悲しく聴こえた・・。

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