私の身体にもソラニン(毒)がたまった…
- 金平糖♪ さん
- 2010年3月10日 10時28分
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原作を知らなかったので、最初、(「ソラニン」なんてなんて変な題名…)と、思いました。
だって、ソラニンてっ、ジャガイモの表皮や芽、ホオズキなどに含まれる毒のことですよね?
主演の宮崎あおいさん演じる井上芽衣子の名前に『芽』という字が含まれていることに関係していて、彼女が『毒女』なのかと想像したり…。
しかし、「ソラニン」とは、劇中で重要な役割を果たす曲名でした。
「ソラニン」のソラとかけているのか、青空のショットが印象的に使われていました。
原作をチラ見したら、本作が原作の雰囲気や風景、服装、髪型、小道具など、細かいところ一つ一つを大切にし、とても丁寧に再現された作品だと感心しました。
しかし、内容は、過去の自分に別れを告げ、「僕は僕の道を行く」と、新たな人生を歩み始める人たちにエールを送っている手垢がつきすぎた題材で平凡。
芽衣子は、経済的に頼りにならない種田の何気ない言葉に勝手に夢を抱き、平凡で単調な仕事に我慢できず、簡単に仕事を辞めてしまう。
一方、種田は、将来に不安を抱いているのに、中途半端な夢にすがり、就職することを嫌いフリーター生活。
夢の実現のために努力をしているわけではない種田に、夢にかけてみるよう、焚きつけたのは芽衣子。
しかし、その芽衣子は、自分の将来の展望や夢はなく、種田を通し夢を見ているかのよう。
23、4才にもなって、「やりたいことが見つからない」とか、「答えが何か見つかるまでもう少し時間を下さい」なんて、一体何甘えたことを言っているのだろうと、情けない限りの二人。
大学を卒業しているのに二人ともフリーターで、同棲なんて、まるで、おままごとみたい。
生活に困ると、結局は実家を頼ろうとするなんて、本当に自立できていない。
普通は、自分の才能の限界にはもう少し早く気づくはず。
多くの人は、職業に出来ないと気づいた時点で、趣味にするもの。
現実逃避も、甚だしい!
大学六年で「就職が決まってしまった。これでいいのだろうか俺?」と、泣き言を言っている加藤賢一に、(何を贅沢言っているの?二年も留年していながら就職が決まったなんて幸運と思いなさい!)と内心突っ込んでいました。
やりたい仕事で自立できるのは、理想でしょう。
しかし、「やりたくない仕事」でも、給料を貰い、自立して生きていくということ自体、すごいことだし、大変なこと。
自立できない人間は、それを批判する立場にありません。
本作は、『自分探し』がブームだった、フリーターでも生きていられた就職難の時代以前の作品だとつくづく感じました。
きっと、今の大学生の共感は得られないのでは?
高三の娘ですら、『中高生ならまだしも、いい年して、何寝ぼけたこと言っているのだろうと引いちゃった』と、誰にも感情移入できず共感できなかったと言っていました。
このように、ストーリー内容は不満だらけでしたが、でも、俳優さんたちは、みんな魅力的です!
あおいちゃんと、高良君の可愛さは、最高でした♪
桐谷健太さんもカッコよかったし、近藤洋一さんもいい味を出していて、俳優さん達や演技には、大満足です。
欲を言うなら、せっかく財津和夫 さんが出演されているのだから、種田のギターで少しだけでも美声を聴かせて欲しかったなぁ…。
夢を諦め生活のためにやりたくもない仕事を我慢してやり、『身体に毒がたまっていく』様子を「ソラニン」と、表現しているのかとも思いましたが、ストーリーに対する不満で、私の『身体に毒がたまっていく』といった感じだったため、つい、毒を吐いてしまいました…m(_ _m)
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