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クララ・シューマン 愛の協奏曲
2009年7月25日公開

クララ・シューマン 愛の協奏曲

GELIEBTE CLARA/CLARA

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3.0

ネタバレここまで美化したら別の人なんじゃないの?

早くから未亡人になったクララに一生男として愛されなかったブラームスを、ブラームス家の末裔が思いっきり美化するために作った映画。 石炭をボイラーに投げ込む様子の大写しで始まり、続いて機関車の煙突が大写しになるので、どんな意味があるのかと思えばシューマン夫妻が蒸気機関車に乗っているというだけだったり、クララの曲を弾いただけのブラームスを何故かシューマンが「自分の曲の理解者」と位置づけていたり、前日の演奏会が大成功で楽員たちから拍手喝さいで迎えられたシューマンが、練習を始めようとして声が小さいというだけで楽員たちからブーイングを浴びてクビになったりと、ストーリーは訳が分からん。 シューマンはひどい頭痛に悩まされ、酒をだらしなく飲んだり、痛み止めのアヘンの常習者になったり、妻を殴ったりするし、クララは自殺を図った夫をなじったりする。演じるのは容貌の衰えが目立つ俳優たち。そんな夫妻に尽くす爽やか青年ブラームス。演じるのはイケメンで、配役を見てもブラームスのイメージアップが目的の映画。そして彼は「世間が許さない」と言うクララの希望を入れて、男女の仲にはならずに一生クララを見守った。なワケがないではないか。しつこくて垢抜けない曲ばかり書いていたブラームスが爽やかなはずはない。お父さんより思いっきり年上のお母さんを持つブラームスが、「世間が」などという理由に納得する筈がない。実際にはしつこくて垢抜けないメタボなブラームスに、クララは男としての魅力を全く感じなかっただけとしか思えないぞ。 なわけで、ストーリーや人物描写に引いてしまう上、音楽マニアとしても白けまくり。クララ役のピアノを弾くさまが、みっともなすぎて痛々しい。作曲家がコンサート中に指輪をかちゃかちゃといじった挙句、床に落として大きな音を立てるなどあり得ん。初見で音響悪そうな場所で人数少ないオケから出てくる音が、ばりばりに練習してある大オーケストラの音響いいホールの演奏。クララの曲は当然として、シューマンの曲もブラームスの曲も大したことない。但し「ハンガリー舞曲」だけはいい。これは名曲だ。こんな曲が聞こえてきたら、驚いて皆が殺到する筈だが、全員が無視。 結局、「当時の医療って、あんなにひどかったのか」という印象だけが強烈に残った。

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