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シャネル&ストラヴィンスキー
2010年1月16日公開

シャネル&ストラヴィンスキー

COCO CHANEL & IGOR STRAVINSKY

R18+1192010年1月16日公開

Kainage_Mondo

3.0

印象に残るべきでない箇所が印象に残った。

それは勿論、主人公ふたりの “熱愛” ではない。 閉店の時刻に、シャネルが店の中で売り上げのお札を数えるシーン。御針子たち数人が他店を引き合いに出して賃上げを希望した時、断固たる態度で冷たくそれを撥ね付けるシーン。 跳ね上がった砂粒が、靴の中に入り込んだ様な違和感、が残り続けた。 屋敷も家具調度も、衣装も装身具も、車も、何もかもゴージャス。その豪勢な生活の一方で、経営者としての打算や決断があるのは当然のことなのだが、どうにもしっくり来なくて困った。 物語は、1913年の「春の祭典」初演から始まり、7年後、シャネルがストラヴィンスキーのパトロン ( と言ってもよいだろう ) になって、二人の仲が深まってゆく、と云う話なのだが、 主演のお二人の演技が硬く、迸る愛情とか、お互いの才能に対する尊敬とか、そういったものが丹念に描かれている様にも見えず、全裸の交情シーンは繰り返しあれど、それで二人の絆の深さを感じ取れ、と言われても無理な造りになっている。 ストラヴィンスキーを家族 ( 妻と4人の子供たち ) ごと招待して別荘 ( だと思って観ていたが、あれがシャネルの自宅 ? ) に住まわせ、援助するのは良いとしても、頻繁に訪れては、同じ屋根の下に家族が居ることを気に掛ける素振りも無くセックスするとは、驚くべき鉄面皮、パトロンの特権でもないだろうが・・・“自立した女” は、猛禽類か ! ? とさえ思ってしまった。全裸で啄ばまれるのは勿論イゴールであり、 対等な関係のまっとうな恋愛に見えなかった。 この辺り、ご贔屓監督フランソワ・トリュフォーが生きていれば、切なくやるせない恋愛関係を、説得力をもって描いてくれただろうになぁ~・・・などと、無理なことを思ってしまった。 ココ尻も、イゴール尻も、それだけでは力足らずで ( 下品で失礼 )、却って、妻役のエレナ・モロゾーワが名演で、いろんな変化球で楽しませてくれたし、彼女の存在で話が救われ、薄っぺらなものにならずに済んだと思った。 まぁ~ゴージャスな雰囲気は味わえたので良かったかな。 【 余談 】 二人の仕事の詳細については余り描かれていないが、唯一、シャネルNo.5を調香師に造らせる話はあり、その場所が何と、かの香水産地のグラース ! 花弁が積み上がっている光景を見て、怪作 「パフューム ある人殺しの物語」 を懐かしく思い出した。

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