あらすじ・解説
地震の際に失くした大切なキーホルダーを探すため、幼なじみの五十嵐広志(入野自由)とともに、地震で壊れたままになっている中学校の校舎跡にやって来た原くるみ(寺島咲)。校舎の中を歩いていた二人は、哀しげにほほ笑む少女の写真が入っていた古い木箱を発見。すると、写真の少女が二人に語り始め……。
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作品レビュー(19件)
- nak********
4.0点
この映画をみて感じたのは同監督の傑作「ゆめのかよいじ」との共通点だ。監督自身の郷里である長岡市の緑の田園風景が映画全編を流れる。街の中を川が流れ、物語は橋の上で展開する。ヒロインの少女が地震で廃校となった校舎の建物の中で見つけた一葉の写真に写っている女性の「想い」をテーマにしたファンタジー仕立ての物語は「ゆめのかよいじ」と共通だ。シナリオライター出身の監督が若い頃から温めてきたらしい様々な想いが映画の前半に盛り込まれている。好きだった少女への想い、気になる友人、郷里の日常、憧れの対象としての東京、脱出の手段としての受験などのエピソードがゆったりと展開する。このあたり監督の昔の日記を読んでいるようだ。映像が素晴らしい。ゆったりとした前半の展開は、この映画の好き嫌いが分かれる理由だろう。 この映画は後半に入ってテンポが速くなり面白くなる。駆け落ちした異国で病没した女性と、その後生きる気力を失くしてやはり早世したその恋人をめぐる謎解きが展開する。死後であっても一緒になりたいという逝った者たちの「想い」が若い主人公たちに乗り移り「悔いのない人生を生きろ」と呼びかける。ちょうど「ゆめのかよいじ」で二人のヒロインが共通して愛したピアノ曲が彼岸と此岸に立つ者たちの想いをつないだように「強く人を想う気持ち」を共有する主人公たちにしか見えない形でこのファンタジーが成立する。この謎解きをめぐってのテンポの良さが心地よい。熱い気持ちが伝わる青春映画だ。
- エルフ
5.0点
この作品は後に公開された「ゆめのかよいじ」につながる新潟県栃尾地域の美しい情景やストーリーから昭和ノスタルジーとはまた異なる懐かしさ、心のよりどころのようなものを感じました。 ストーリーは前半、静かに進みますがラストに近づくにつれ主人公の恋愛模様も並行して描写され、その展開を追いながら楽しむことができました。 高校生の恋愛を題材にした作品はこの世に数多く存在しますが、この作品は鑑賞しているうちに何故か過去の自分の思い出を重ねていることに気づきました。 寺島咲さん演じる主人公の原くるみは恋愛のもどかしさを如実に体現しています。 さらに、諸橋虎二郎役の加藤武さんは一見すると頑固で怖そうなキャラクターながらも文化の伝道師とも呼ぶべきキーパーソンを巧みに演じておられました。 虎二郎がくるみたちに伝えた言葉にこそ失われゆく文化への問題提起と次の時代を担う世代への期待を託す強いメッセージが込められていることを実感しました。 その土地に連綿と続いてきた生活・文化・伝統を継承することの大切さについて考えるきっかけとしても多くの方にご覧いただきたい作品です。
- chi********
3.0点
大阪ではずっと公開されていなかったので新潟の十日市町まで飛行機に乗ってレンタカーに乗り継ぎ見に行ったものです。最近、大阪の小さな昭和丸出しの映画館で公開され始めたことを知りました。でも、あーぁとは思いません。あれはあれでいい『旅』でしたから。いろんな意味でめちゃくちゃ行きにくいエリアにポツンとある映画館ですがこのレビューを見た方は是非行ってみてください。
- yon********
5.0点
はからずも、「耳をすませば」をテレビで放送していたのと時を同じくして DVDで見たが、同じような清々しさと誠実さを強く感じた。 計算された間合い、淡々としていて、それで、人物たちの内に秘めた 心の動きと、そして、ロケーション、シチュエーション、シーンの美しさ。 意外なところに良作が埋もれていた。 そして、寺島咲という逸材も発見できた。
- hel********
5.0点
何気なく観たらジーンとくる作品。スネオヘアーの主題歌も、全編に流れる静かな音楽もいい。 静寂が心地いい。
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