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イングロリアス・バスターズ (2009)

INGLOURIOUS BASTERDS

監督
クエンティン・タランティーノ
  • みたいムービー 930
  • みたログ 5,110

3.66 / 評価:2,279件

映画を愛しているからこそ

  • ryo***** さん
  • 2009年11月27日 15時42分
  • 閲覧数 530
  • 役立ち度 107
    • 総合評価
    • ★★★★★

タランティーノの作品は究極の会話劇だ。一見派手さやインパクト、話題性で人気を博しているようにも感じるが、人が対峙する事によって生れる会話と駆け引きでその全てが成り立っている。ヘタすりゃ会話の流れによって、監督本人でさえ思ってもいない方向へと物語が流動していく事さえあり、それほど作品の軸としての意味合いが強いと云える。

また、誰よりも果てしなく映画愛に溢れているのも有名な話だ。しかもタランティーノの場合、にわか映画評論家が軽率にやってしまう作品への格付けなどは一切せず、たとえどんなに世界的評価の高い作品であっても、どれほど世間から見放された作品であっても、彼にとってそれは1本の作品でしかなく、自分が面白いかどうかだけが判断基準となる。

そんなタランティーノの人間性がよく表れているのが、彼の作品における人の命の軽さだろう。彼の作品において人の命は極めて軽く、何の前触れもなくあっさりと奪われてしまう。だがそれは誰の命だろうが奪われるときは平等であり、何時・何処でなんて都合のいい法則など無いという理屈にも繋がってくる。死ぬ時に人の位など意味はなく、だからこそ彼の作品は終始に渡って死のオーラと緊張感が持続するのだ。

この事は彼の作品の性質上誤解される事が多い。だが作者や造り手にとって都合のいい人だけ死ぬなんて作品、どこが面白いんだろうか?その最たる分野が最近の難病映画なのは云うまでもなく、言い方は同じ”人の命を軽く扱う”であってもその本質はまるっきり違う。物語の展開上不必要な人を排除する難病映画に対し、タランティーノの作品では重要人物はおろか、主役でさえ死ぬ可能性を漂わせ演出してしまうのだ。その緊張感たるや並大抵で表現できるモノではない。

特に今回第二次大戦が背景にあるので人の命がすこぶる軽く、故にタランティーノの演出が冴えに冴え渡る。もしかしたら戦争映画は彼にとって真骨頂と云えるジャンルなのかもしれない。それにタランティーノの掲げる戦争論も面白く、結局は人種間のいざこざ程度(アイツ気に喰わないからやっちまおうゼ!とかね)がキッカケで始まってしまう人間の愚かさと、それに否応なしに巻き込まれてしまう人達の哀しさが浮き彫りされている。

また言葉やアクセントに徹底してこだわっており、それに伴いほば全編に渡って原語を喋らせたのは画期的だと云える。字幕に慣れている日本人にはあまりピンとこないかもしれないが、ハリウッドで字幕作品を容認する事など全米公開作品ではまずあり得ない。それほどアメリカ人は字幕を毛嫌いする。だが原語を喋らせなければ作品の本質が失われてしまうのは監督本人が一番判っている訳で、だからこそ字幕を付けてでも喋らせる。タランティーノにとっては必然的であり当たり前なのだろう。

出演者では口をへの字に曲げ、変なアクセントで活き活きとバスターズ隊長のアルド・レイン中尉を演じるブラピの怪演はもちろん、何んと言ってもランダ大佐を演じたクリストフ・ヴァルツが素晴らしすぎる。何ヶ国語もの言葉を自在に操り、人とその心を操る異常なまでに切れる頭が恐ろしい。だが実に人間臭く、悪党なのに底知れぬ魅力を感じてしまうのだ。

シーンひとつ、言葉ひとつ取っても監督にとっては意味があり、こだわりがある作品だ。それに戦争と云うモノに対する、映画愛タップリのタランティーノらしいひとつの回答が示されている事も注目と云えるだろう。解説書も出版されているが、これがメチャクチャ面白い。私なんかでは知る事のできなかった様々な要素が含まれているのが判る。とりあえずパンフに載っている解説だけでも読んでみる事をオススメしたい。またオマージュやインスパイアとは何なのか、特に映画を造る連中はこの作品を観て(解説を読んで)感じて欲しい。


実は鑑賞してから結構経っている(6日ほど)。何を書いていいか頭がまとまらなかった。何を書いても上っ面だけの軽薄な文章になってしまいそうだし(実際書いてみたらそんな感じになってしまった)、素直な感想を書こうと思ってもひとつのシーンだけで様々な事を思い起こさせる密の濃さなので、それこそ際限なく書き続けてしまいそうなのだ。

いや~ホント、未だに頭の中がグチャグチャです。バカな自分が情けない。

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