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正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官 (2009)

CROSSING OVER

監督
ウェイン・クラマー
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3.69 / 評価:296件

解説

アメリカで1,100万人以上の不法滞在者がいるとされる現実を背景に、現代アメリカの抱える移民問題をリアルに描いた社会派ヒューマンドラマ。職務と正義の間で苦悩する移民局の捜査官をハリソン・フォードが熱演するほか、『BUG/バグ』のアシュレイ・ジャッド、『ダウト』のレイ・リオッタなど実力派が脇を固める。監督は、『ワイルド・バレット』で注目を集めたウェイン・クラマー。国境をめぐる人々の思惑が複雑に絡み合う重厚なストーリーが胸に迫る。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

多様な人種、さまざまな事情を抱えた移民が集まってくるロサンゼルス。移民局I.C.E.のベテラン捜査官マックス(ハリソン・フォード)は不法就労者の取り締まりが任務だが、彼らの立場に同情的なため、つい彼らの事情を気遣ってしまう。そんなある日、同僚の妹が殺され遺品の中から偽造グリーンカードを見つけた彼は、独自の捜査に乗り出す。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2008 The Weinstein Company,LLC All Rights Reserved.
(C)2008 The Weinstein Company,LLC All Rights Reserved.

「正義のゆくえ/I.C.E.特別捜査官」南アフリカ出身監督が描く超大国アメリカの脆弱な実態

 9・11以降のアメリカは理不尽なくらい排他的な国になってしまった。自らも南アフリカ出身で苦労して米国市民権を取得した経験があるウェイン・クラマーの脚本&監督作だけあって、「正義のゆくえ/I.C.E.特別捜査官」で描かれる当局の不法滞在者に対する締め付けは、むしろそっちの方が犯罪的ですらある。

 幼い息子を残してメキシコに強制送還される母親や、移民判定官と寝る代わりに偽造グリーンカードを入手しようとする女優志願のオーストラリア人女性等は、貧困や夢の実現が動機の越境者たちだ。しかし、同時多発テロ以降のアメリカが最も排除したいのは危険なイデオロギーの持ち主、つまり、彼らから見ればテロリストの根を持った外国人であることが、あるエピソードで明らかにされる。敬虔なイスラム教徒であるバングラデシュ出身の女子高生、タズリマは、授業で9・11のテロ実行犯たちを殺人鬼と決めつけるべきではないと言い放ったばっかりに、危険分子と見なされ拘置されてしまう。そればかりか、FBIは少女に自主退去か裁判闘争か一家離散かの三者択一を迫るのだ。もはや、そこには言論の自由、人間の尊厳さえ保証されない、恐怖に屈した大国の脆弱な実態が露になって、重い脱力感が漂うばかりである。

 ハリソン・フォードが初めて群像劇の一部となって演じる移民税関捜査官が、メキシコ人の少年を故郷に送り届ける幕切れに、かすかな光明を見出すと言ったら楽観的に過ぎるだろうか? 少なくとも、恐怖を封印するために最も有効な手段は、ささやかな善意と勇気をこつこつと積み重ねて行くこと。その向こうに“正義のゆくえ”があるのだと思う。(清藤秀人)

映画.com(外部リンク)

2009年10月1日 更新

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