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スリーカウント (2009)

監督
窪田将治
  • みたいムービー 3
  • みたログ 8

3.40 / 評価:5件

まきこめ!

  • かんじゅーす さん
  • 2009年6月26日 3時20分
  • 閲覧数 325
  • 役立ち度 14
    • 総合評価
    • ★★★★★

 いやー、まきこまれました。ハタチそこらの女の子が真夏の河川敷(鶴見川。豆知識でした)でプロレスして、汗まみれになって、しまいには主役の子なんて眉毛が「平安美人」化してて、それでも彼女たちの全身から「楽しいぞ!」オーラがどかどか伝わってきたとです。ストーリーやら演出やら、そこは見事に「単館系レイトショー品質」なのですが、それを補って余りある気合い、熱気、勢いじゃ。いま、めっちゃ気分上々なんで勢いで(笑)星4つ進呈してもよかろーもん!

 シネマート六本木単独、しかもレイト枠の本作「スリーカウント」に限らず、単館系映画、ひろくインディーズの音楽などにもよく手を出す僕ですが、たぶん理由を突き詰めると、作り手の「気を抜けるところがない」、いい意味で追い詰められた感じが好きなんだと思います。自前だから「オトナの事情」に無縁な一方、作品を世に出すのすら難しいくらい、リスクと背中合わせ。そんな崖っぷち感がたまりません(笑)。

 で、幸か不幸か本作、お話の内容まで崖っぷちな女の子たちのことであります。

 女子プロブーム(というかプロレスブーム)が去って久しい現在、弱小団体・埼玉ガールズプロレスも資金難で解散決定、これが冒頭場面。いきなりスリーカウント入りました(笑)。主人公で入門1年目の千葉まひる(志田光さん)や看板レスラーの猪狩早苗(井上京子さん)たちが、道場すらない状況から団体を再生しようとする物語です。映画もプロレスも超インディーじゃ。

 こんなお話ですから、まあラスト、どっかのホールでエキストラ大量動員の復活イベントロケ!とか思うでしょう?
 ところがどっこい埼玉ガールズ、お金的には、ちっとも再興しないんですわ(笑)。
 なんに、映画の終盤15分、圧倒的な「復活」興行が繰り広げられたもんだから、こりゃすごい。

 去年「ガチ☆ボーイ」という学生プロレスの映画があったけど、「スリーカウント」はガチ☆ガール。うひー、本気でプロレスしとりますがな! 現役女子プロ3人以外の女の子たちは、実際に女子プロデビューするのを条件にキャスティングされたらしく、そりゃあ、プロレスしとる場面の熱気あふれるわけですわ。スポーツものって、その競技に真摯に向き合っていれば自然といい出来になると思います。僕が「ROOKIES」を全然評価しなかったのもそこですし。で「スリーカウント」、女子プロ界の大物の井上京子選手はじめ、さくらえみ選手や田村欣子選手らが技術面を引っ張り、プロレス素人だった志田さんたちは、ひたすらドロップキックを極めることで応える。よーく見てたら全編、キックとボディスラムと両エビ固めだらけやけど(笑)。

 「小手先の技じゃなくて、『見せる』ことを考えるんだ!」

 井上選手演じる早苗(というか井上さん自身)が指導中叫ぶひと言です。ほー、説得力あるのー。ていうか監督さん、よくプロレスを取材しとらすなー。作品紹介にはこんなことも書いてあります。

 ―プロレスラーが演じる演技ではなく、プロレスラーじゃない役者が演じる迫真のプロレスシーンを求めて。

 この映画のキモだと思います。なぜなら、

 プロレス⇔演じること。

 他のスポーツと違ってプロレスは第一にショービジネスであるから、「演技」を撮る「映画」のフォーマットとものすごく相性がいい。それでいて映画もプロレスも、僕らがそれを「嘘」だとわかっていても、真剣に感情移入できるし、泣かされるときすらある(だから僕はプロレスに台本があってもなくても、どんな価値も減らないと思います)。ですから、彼女たちがプロレスに真剣な姿からは

 プロレスLOVE⇒映画LOVE

 が自然と成り立つわけでして。いや、ハゲ頭の某レスラーは出演してないけど(笑)。

 というわけで「スリーカウント」、かなーり熱い映画でした。お芝居の中でも、銀幕の前の僕らもラスト15分、6人タッグマッチにはまきこまれます。カウント2.9が何度も入るから、ストンビングしかけたくらいやし。ちなみに作品冒頭20分くらいはやけに暗い展開で、この日は給料日のくせにお金の話ばっかやるもんだからお客さん何人か退場しちゃったけど(笑)、あー、こりゃ最後まで観んと損しますぞ。

 あとこれだけ、井上京子さんの存在感、素晴らしかったです。確かに脚本はあるのでしょうが、台詞が本物のプロレスラーだからこそ重い、そんな場面ばかりでした。冗談抜きに彼女たちの試合、見たくなっちゃったもん。

 同じ4つ星だからって「劔岳 点の記」の重厚で秀逸な雰囲気とはまったく別ものです。インディー(ズ)ならではの懸命さが、作品からも選手からもはつらつと伝わってきました。すごくいい気分で映画館から帰ってきましたから、レビューだっていつもより爽快な筆致に…なってないか(笑)。

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