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誘拐ラプソディー
2010年4月3日公開

誘拐ラプソディー

1112010年4月3日公開

shi********

4.0

チグハグさが惜しいが子役に救われた作品

子役の林遼威くんに救われた作品と言える。 誘拐という犯罪を描いた作品だが男と少年のロードムービーの色合いが強い。 借金と前科しかない男の車に家出志願の6歳の少年が乗り込み、男は思いつきで「誘拐」してしまうが、その子供はヤクザの会長の息子で・・・というあまりリアリティのないストーリーなのだが、なかなか面白い作品に仕上がっている。 男を演じる高橋克典は金太郎や只野仁とは違ったキャラの冴えない男を好演。 ヤクザの会長が哀川翔。 何気にネクタイがゼブラだ。 事件を嗅ぎ付ける刑事が船越英一郎と芸達者が揃っているのだが、何より素晴らしいのが少年役の林遼威くん。 実に可愛らしい。 笑った顔、涙ぐんだ顔は演技とは思えない自然さだ。 子役を見て常々思うことは、自然さのないガチガチの「演技」で興をそいでしまうのは作り手の責任だということ。 つまり子役が素晴らしいのはその子の素質もあるが、作り手の努力の賜物と言える。 昨今は子役ブームもあるが、その点で感心できる作品も増えてきていると思う。 この作品もそんな一本だ。 押尾のせいで監督自ら代役を演じて撮り直したとのことだが、その部分も違和感ないどころか、エンドクレジットで役柄を知って驚くほど見事な演技だ。(やけにうまいと思ったら俳優でもあったのね・・・) 完成と公開までの苦労は察するに余りあるのだが、残念なのはその真剣さが仇となったのではと思えるところ。 ヤクザ描写が少々マジ過ぎるのだ。 若頭役が菅田俊。 「ポチの告白」などの名演が印象深い大好きな役者なのだが、ハマり過ぎている。 拳銃を構える姿が様になりすぎ、そしてその構図がしびれるほどカッコ良すぎるのだ。 この作品のヤクザ描写は「ごくせん」やドラマ「セーラー服と機関銃」のそれとは違い、コミカルさマヌケさはほとんどない。 マジでコワいのだ。 この作品はコメディだ。 だがこのヤクザ描写のリアルさのおかげで安心感が薄れてしまっている。 悲壮感と絶望感が漂うシリアスドラマとして作っても十分感動できる良作に成り得るストーリーと演出力なのだが、コメディにするならもっと安心して笑えるドタバタコメディにもできたであろう。 そのあたりのチグハグさが実に惜しいと感じてしまったが、子役の可愛らしさに救われた作品と言える。 この林遼威くんと、思わぬ名演もこなした監督の榊英雄氏には今後も注目したい。 余談だが金曜深夜の横浜ブルク13にて鑑賞。 またしても客は私1人。 それはやはりうれしいのだが大丈夫か。 「ブルグ」じゃなくて「ブルク」だったのね。 ごめんね横浜ブルク13。 頑張れ横浜ブルク13。

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