もうひとりの女 京都・清滝にて
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作品情報上映スケジュールレビュー

作品レビュー(1件)

不気味33.3%恐怖33.3%不思議33.3%

  • taj********

    3.0

    湿気、生、死、因縁、地霊

     シチュエーションだけで観てきました。  東京では上映されていないし、もしかしたらこのままお蔵入りかもしれません。某子園球場の交流戦のため大阪に行ってまして、「日曜デーゲーム→月曜ナイトゲーム」という、もう映画を観てこいと言われたも同然なので(おいおい)、とりあえず大阪でやってる映画を調べて、しかし「ちっともミラクルじゃないらしいラブストーリー」とか「何とかの油」をわざわざ観るのも大阪にいる意味がないし、ま、シネ・ヌーヴォという大阪市内の小さな映画館の上映予定を眺めていたわけです。シネ・ヌーヴォには今年3月、かの「花の袋」の制作陣の最新作「美しい術(すべ)」の初日で偶然訪れて以来の2度目なんだけど、あのときは「シネ・ヌーヴォ」だったぞ。はて今回、「もうひとりの女」はシネ・ヌーヴォ「X」なんだと。はて、あの敷地のどこにスクリーンがもう一つあったかの?  えー、ほぼ屋根裏空間でした(笑)。月曜の昼に行く自分も自分だけど、当然貸し切り状態です。イスが30きっかりしかなくて、東京のトリウッドやアップリンクXなんて目じゃないぞ(何を競っとるんじゃ)。ところで僕が来なかったら、上映って無人でも始まるんですかね? 遅れて来た人に対して冒頭から始めたら、次の上映回に響くだろうし。「次の回の客なんておるんか?」なんて口が裂けても言えんけど(笑)。  こんな状況だからして、事前情報が極端に少なくて期待度大爆発です(笑)。公式ホームページはないし、ストーリー紹介が  「京都の西の端、清滝にある古い旅館に泊まる二組の客。二年前にも同じような客がいた。女将の気持ちは穏やかではない…」  こんだけかい!  キャストが4人というのはわかったけど、役名が全然出てない。監督の高林陽一さんという方は自主映画の祖といわれる伝説の人で、現在70代半ばで、大林宣彦監督の盟友だと。なんとなく予想はついてきたぞ。ま、年上のレビュアーさんとかには有名な監督さんなんでしょうけど、僕は新作の追っかけすらままならないんで、所詮こんなもんですわ。で、「二組の客」というのは互いにひとり旅の藤原君子(白石美樹さん)と望月(高城ツヨシさん)で、宿の女将に遠藤久仁子さん演じるヨウコ、主人は吉田信夫さんという方が扮していました。  ヨウコが狂言回し役でして、彼女の、とてもゆっくりとした語り口を耳にして  「これ、日ごろ見とる『単館系』と全然違うばい…」  台詞も画面の切り取り方も、はっきり言って非常に古くさい。説明的なことばを台詞にしてただ連ねつつ、しかし不思議なことに、なお「すきま」「謎」をひどく残している気がしたんですね。ヨウコが芸姑上がりという設定のせいか、話を聞く望月やこちら側の僕らを、「聞く」耳にしてくれるわけです。若い自主映画の監督さんが演出としてやる「ゆっくり」とは、次元の違う気がしました。なんというのかな、湿気がある、て感じかな。地に足がついているというか。もはや足は埋もれてるかもしれんけど。  古くさい演出に思わず、何十年も映画に生きた高林監督の「年輪」を感じました。散々書いてて申しわけないけど、まさか「(笑)」をつけられるような雰囲気の作品ではないぞ(笑)。  それで、怪談映画ではないのに、後半にゆくにしたがって、ちょっと、ぞっとしてきました。題名でもある「もうひとりの女」の意味が望月によって明かされる場面などは、下から湧き出るような湿気を覚えたほどです。最近の映画だと深川栄洋監督の「真木栗ノ穴」に通じる空気の重みでしょうか。あとで考えてゆけば、清滝という舞台、愛宕山の麓という場所自体、作品の湿気そのものなのかもしれません。山上の聖地、寺社仏閣(愛宕念仏寺や不動院)に対して、麓の水沢にある俗集落。この上下関係自体色濃く「生命」や「死」「因縁」、直接的には肉体的な「情事」の匂いを漂わせることでしょう。これらの言葉が全部、本作のキーワードになっていると思います。高林監督は本作に、そんな清滝の「地霊」をも撮り込んだにちがいありません。  深山幽谷を君子が、望月が、あてもなく歩いてゆく後ろ姿。  ヨウコの謎めいた台詞。「私はこの橋をもう2か月、向こうへ渡っていません…」  年老いた宿主人の言う「何事にも、終わりはあるんだよ…」。  死の匂いが濃すぎる。ご存知のように、日本では「生命の馨り」と同義語なのですが。ちなみに(予算の関係で?)劇中音楽はほとんどありません。それすら、この土地の圧倒的な生と死の重みを醸し出していた気すらするのです。  若手映像作家の邦画ばかり観ている僕の身には本作、正直巧い映画とは思えませんでした。でも、脳裏にこびりつくような重み、湿気が、観てまる一日過ぎてなお残っているのも事実です。なにか、どこか、気になる作品でありつづける予感がしております。

スタッフ・キャスト

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基本情報


タイトル
もうひとりの女 京都・清滝にて

上映時間

製作国
日本

製作年度

公開日
-

ジャンル