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母なる証明 (2009)

MOTHER

監督
ポン・ジュノ
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3.86 / 評価:1,120件

解説

凄惨な女子高生殺人事件を皮切りに、事件の容疑者となった息子と、息子の無実を信じて真犯人を追う母の姿を追ったサスペンス。監督は『殺人の追憶』などで国際的に評価される名匠ポン・ジュノ。主人公の母を“韓国の母”と称される国民的人気女優キム・ヘジャが演じ、その息子を『ブラザーフッド』のウォンビンが演じている。カンヌ国際映画祭でも絶賛されたポン・ジュノ監督の卓越した演出と、兵役後の復帰第1作となるウォンビンの熱演に注目だ。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

早くに夫を亡くして以来、一人息子のトジュン(ウォンビン)と静かに暮らすヘジャ(キム・ヘジャ)。そんなある日、街で殺人事件が起こり、もの静かなトジュンが第一容疑者に。事件の解決を急ぐ警察がトジュンを犯人と決めつけ、無能な弁護人も頼りにならない中、ヘジャは真犯人を捜し出し、息子の無実を証明しようとする。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2009 CJ ENTERTAINMENT INC. & BARUNSON CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED
(C)2009 CJ ENTERTAINMENT INC. & BARUNSON CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED

「母なる証明」一瞬たりとも油断のできない映画。謎のショットが必然的なショットになる

 文章に味があって、話も面白い小説を読んだ気分がする。「母なる証明」を見て、私は最初にそう感じた。が、これでは言い足りない。この作品の「映画的豊饒さ」には、文学を語る際の形容が当てはまらない。

 まずなによりも個々のショットの粒立ちが素晴らしい。加えて、物語の流れに、なんともいえぬコクがある。細部の豊かさが、映画の全身を循環する血液のように行きわたり、一瞬たりとも脈動が止まない。いいかえれば、「母なる証明」の登場人物や風景は、全篇を通じて呼吸しつづけている。

 主人公の母(キム・ヘジャ)に名前はない。登場人物全員が、彼女を「お母さん」と呼ぶからだ。母には、障害のある息子(ウォンビン)がいる。息子は女子高生殺人事件の容疑者として逮捕される。母は事態を受け入れない。息子の無実を信じて、雲に覆われた町や土砂降りの通りをひたすら歩く。

 ただ、その様子がちょっとおかしい。無償の愛情とか不屈の闘志とかいった言葉では間尺に合わない微妙な音程の狂いが、母の言動の節々から立ち上がりはじめている。

 監督のポン・ジュノはここで周到な網を張る。記憶という迷宮が否応なくはらんでしまうずれや勘違いが、話を展開させるエンジンとなるからだ。一見脈絡がないように思われたショットは、「あ、そうだったのか」という納得の種子になる。「パボ(馬鹿)」という言葉や、少女の鼻血や、太腿の内側に刺される鍼は、ひとつひとつが迷宮の扉を開く鍵の役目を負う。だから、この映画は一瞬たりとも油断できない。謎に包まれたショットも、あとで考えると、すべてが必然的なショットとして機能しているではないか。この発見は観客の快楽だ。ならば、映像に眼を凝らし、音声に耳をそばだてよ。快楽を得るための入場料は、そんなに高くないはずだ。(芝山幹郎)

映画.com(外部リンク)

2009年10月22日 更新

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