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ゼロの焦点
2009年11月14日公開

ゼロの焦点

1312009年11月14日公開

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4.0

映画だったんだ。。。。

うっかり、長編ドラマだと思ってました。 広末は余り好きではないけれど、松本清張原作と西島秀俊さんにひかれて観ました。 ストーリーはぼんやり知ってるから、記憶を確かめ、答え合わせをしながら観ていくって感じでした。 いわくありげにキャラメルを一粒新妻の手のひらに残し、男は消えるのです。 汽車の情景、金沢の風景がミステリアスかつ旅情を誘い、それだけでムードは満点で、画面の美しさに、多少の脚本の無理、キャスティングの無謀が許せるのはBS放送のせいですね。 まぁ、しばらくお付き合いいたしましょうノスタルジーに浸って戦後の人物群像を眺めるのもいいかもしれないって感じです。 登場人物の過去や欲望がむき出しになり、一人の男をめぐって三人の女の個性がぶつかり合う、息のつまるようなやるせない物語。誰も悪い人はいない。善人もいない。みんな必死に自分を行きようとしただけなのに悲劇になってしまった。 華やかな場所にいながら心は過去のままのマリー。夫に愛されていながら満足できずに、傷だらけの顔でスピーチをしてしまう、性。 同情しきれない、アクの強いキャラクター。 過去から逃れられなかった女の悲哀が画面に滲みます。 お腹に子どもを宿しながら、信じられるものをなくし、生きる希望を失ってしまう、エミー。木村多江さんが演じると納得してしまうのはなぜでしょう。 夫への想いに半ば盲目になってしまう、禎子。純粋に彼を信じる姿は美しいけれど、悲しい結末をあえて追求しなくてもと冷めた目で見てしまいます。真実を知らないと人は前に進めないものなのでしょうか。 そして、生まれ変わろうとして禎子と結婚した憲一。何て身勝手なんだろう。けど、いるかも、こういう人。彼もまた、戦争の記憶、戦後の記憶からにげたかったのでしょうか。 逃げ切れずに、未来をなくす姿は自業自得とはいえ、切ないものがあります。 個人的には、オンリーユーを歌ったシーンとかあったら面白かったけど。余談でした。 日本初の女性議員が絡むのが社会派の松本清張さんって感じです。女性の地位向上を取り上げて、全体に女性にやさしい映画です。 マリーやエミーたちのような仕事を女の子達がしなくてもすむ世界を。。。 いまだにセクハラや暴行事件、女性であるが故の悲劇、被害はなくなりませんから、この手の物語は時を越えて通用しそうです。というか、白夜行のようにさらに強烈になっているような気がします。 本当に女性差別は、世界からなくなって欲しいと心から思います。 美貌と知性はあるが過去を持つ女。 知性はないが純粋な心を持つ、過去のある女。 知性と純粋さを持つ、過去のない女。 男はやはり過去のない女が好きなのでしょうか。過去のある男はモテそうです。これも差別かなー。 しかし、これからの時代を作るのはいつでも新しい世代なのだと痛感する。古いものを乗り越えて、逞しくしなやかに、したたかに生きていくのでしょう。 過去は必ず清算される。。。。 過去に哀愁を感じつつ、未来への足音に耳を澄まして、今、自分のなすべきことはと想い返すターニングポイントになりました。

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