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おとうと (2009)

監督
山田洋次
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3.47 / 評価:807件

大切な部分が抜けている

  • qaz******** さん
  • 2021年10月14日 1時33分
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

冒頭、主人公である吉永小百合演じる吟子の一人娘である蒼井優演じる小春の結婚式を控えた家族の様子が少し古い結婚感や関係性を抱いた一家だという前置きのようで以降の展開を受け入れやすくさせている。

というのも鶴瓶演じる”おとうと”鉄郎が登場する小春の披露宴シーンから核家族化する前の日本の親戚そのものなのだ。
ちょっと迷惑な親戚や冠婚葬祭をほぼ出禁にされる親戚は親の兄弟が多い時代にありがちな話で、現在披露宴でひょっこり出てくる長話や酩酊の叔父さんは親族間で許容された叔父さんであり鉄郎のような存在ではないのだ。

この古い雰囲気を母子家庭の一人娘の見合い相手が医者なので古い形の披露宴と言い訳に替えるには少し無理があった。
というかなんで見合い?
小春が惚れられて結婚のほうが違和感がなかったんだが高野家が新郎側に叱られたり離婚を見据えたためとしては少々お粗末。

また迷惑極まりない厄介な弟としては巧みに描かれ鶴瓶の演技も良かったが愛嬌はあるものの姉に同調するほどの魅力を感じず山田洋次らしくなかった。
おとうとというタイトルの割に鉄郎そのもののエピソードが少なく、姉と弟の絆がクライマックスの闘病シーンに集約したことが敗因じゃないだろうか?
物語内の人々から疎まれても見る側が許してしまう魅力が厄介者には必要で、山田洋次はそれを熟知した映画を撮ってきたと思っていたので残念。

借金から吟子に叱られている鉄郎が母親に同調した小春にキレたシーンがまさにこの映画の作りの落ち度の象徴で見ごたえはあるもののこの場面の鉄郎の感情の切り替えに鉄郎がまともな情を持っていないように見え幼稚性から来る自己中心的な部分は登場人物として許容できても、これは違うんじゃないかと思った。
鉄郎が名付け親に選ばれた理由も父親の心意気は良くても娘に無責任に感じ、多面的な見方や過去からくる思いなど大事な点の描写不足が多かったことも人物像の魅力の無さに繋がったのだろう。

そして鉄郎最後のシーン。
志を持った善意の人々の私設ホスピスらしいが最期の写真だの最期最期言いすぎて終末医療に慣れきってしまった人々をリアルに表した結果なのか終わりをせっついているようで、ちょっと気持ち悪かった。

対してラストの”大事な話はいつものけ者”だった加藤治子演じる吟子の姑が痴呆が進み、小春の二度目の結婚式にのけ者の鉄郎を哀れみ、招こうというシーンは素晴らしく、ここに山田洋次が描きたかった全てがあったのではないかと思った。

鉄郎の披露宴での失態から離婚のような語りがあったが結局は旦那の吝嗇が決め手で離婚した小春の新な出会いから再婚までの橋田壽賀子ばりの物語をもっと控えめにして、吟子と鉄郎、吟子と姑の関係性をもっと丁寧に描いて欲しかった。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 切ない
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