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おとうと (2009)

監督
山田洋次
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3.47 / 評価:804件

解説

女手一つで娘を育ててきた姉と、大阪で芸人にあこがれながら破天荒な暮らしを送る弟との再会と別れを描く家族ドラマ。10年ぶりの現代劇となる山田洋次監督が市川崑監督の『おとうと』にオマージュをささげ、戦後に生まれ育った姉弟のきずなをバブル景気直前に生まれた娘を通して、現在と今後の日本の家族の姿を映す。主演を吉永小百合が務め、その弟役を笑福亭鶴瓶が好演。笑いと涙にあふれた家族の希望と再生の物語に胸が熱くなる。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

夫を亡くした吟子(吉永小百合)は、東京のある商店街にある薬局を女手一つで切り盛りしながら娘の小春(蒼井優)を育て、義母の絹代(加藤治子)と3人で暮らしていた。やがて、小春の結婚が決まり、結婚式当日を迎えるが、吟子の弟・鉄郎(笑福亭鶴瓶)が紋付はかまで大阪から現われ、披露宴を酔っ払って台なしにしてしまう。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2010「おとうと」製作委員会
(C)2010「おとうと」製作委員会

「おとうと」庶民的家族の絆を描き続けてきた山田洋次らしい作品

 山田洋次監督は、シナリオの段階で俳優のあて書きをするタイプなので、同じ俳優を前作とは違うキャラクターに連続して起用する傾向がある。前作で吉永小百合と風変わりな叔父さんを怪演した笑福亭鶴瓶の組み合わせは、「母べえ」の撮影現場で生まれたアイデアなのだろう。どう見ても姉弟には見えない2人だが、寅さんと妹さくらを移し変えた賢姉愚弟版だと思えば納得できる。

 前半の見せ場は、鶴瓶演じる鉄郎が姪の小春(蒼井優)の結婚式にふらりと現れ、酒に酔って披露宴をめちゃくちゃにするシーン。マイクを独占して「王将」を歌ったあげく大暴れするなど、鶴瓶のワンマンショーになっている。「男はつらいよ」第1作で、さくらのお見合いをぶち壊した元気がよかった頃の寅さんを思い出すが、鉄郎の場合はみんなにひたすら迷惑がられる存在だ。

 寅さんと違って帰るべき家も故郷もない鉄郎は病気になり、身寄りのない人のための<みどりのいえ>に収容される。民間のホスピスで働く職員のさりげない善意が山田作品らしい。山田監督は、姉が自分の手と弟の手を紐で結んで眠るシーンを市川崑監督の名作「おとうと」から引用し、この作品を市川監督に捧げている。だが幸田文の原作を映画化した市川版とは家族関係や時代背景が大きく違う。笑って泣ける本作は、松竹の伝統を受け継いで庶民的家族の絆を描き続けてきた山田監督が、故郷を失った現代人の死を冷静に温かく看取っている。(垣井道弘)

映画.com(外部リンク)

2010年1月28日 更新

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