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運命のボタン (2009)

THE BOX

監督
リチャード・ケリー
  • みたいムービー 444
  • みたログ 2,199

2.33 / 評価:911件

ボクらはみんな「押して」いる

  • バツイチ王子 さん
  • 2010年5月8日 10時39分
  • 役立ち度 44
    • 総合評価
    • ★★★★★

窮地に追い込まれた人間に「欲望」と「モラル」の「選択」を迫り
その根底に隠された人間性を抉り出す

そんなプロットにさほど目新しさはない
思い出したのはデミ・ムーア主演の 「幸福の条件」
奥さんを一晩貸せば100万ドルを払いますというもの
また「SAW」での肉体の痛みと心の痛みとの「選択」
「レベル・サーティーン」もそんな選択の連続する映画だった

きっと、ボタンを押してしまった良心の呵責に苛まれ
精神的に破滅していく話になるだろうと想像した

唯一、単純にはならない不確定要素が監督リチャード・ケリー
あの「ドニー・ダーコ」ではいいように翻弄された
改めて自分のレビューを読み返し、いかに面白かったかを再確認
彼ならば、想像を超える展開と結果を用意してくれる



その感想は、残念ながら“意欲は買うが空回り”
シンプルなお話と複雑怪奇なリチャード・ケリー
そのマッチングが今ひとつだったように思う



ボタンを押すと100万ドルがあなたのものになります
ただし代償として誰かが死に至ります
本作は、そんな「選択」に迫られた夫婦を描く


気になった点はいくつもある

まず、並んだ伏線の意味がわかりにくいこと
非日常な描写がいくつもあり何かの伏線では?と思うのだが
結局説明されないまま観客に解釈を委ねられる
叙情的な心理描写なのか?と考えるもよくわからない

人によって解釈が分かれる面白さもあると思うが
どうにも伏線散らす浦○直樹の作品が苦手なオレには伝わらず。
「ドニー・ダーコ」ではまだ回収されつつあり
想像を超えたエンディングにもう一度観たくさせる快感があった

だが本作はシンプルな話をこねくり回して収拾つかなくなり
ありきたりの因果応報的なオチへと持っていったように感じた
えー!という驚きなくあーやっぱりというありきたり感がツライ


キャメロン・ディアスが演じるノーマに共感ができないことも
楽しめなかった理由のひとつだ

もし自分だったらどうする?という疑似体験を映画でさせるには
観客にその人物への共感を持たせることが欠かせないと思う
しかし、このノーマがどうにもオレにはわからなかった

ノーマは生徒に指摘され、肉体の欠損をさらけ出す
自分にとってトラウマにもなることを何のためにわざわざ?
教育のために?それともドMだから?

また同じ欠損が顔にあるスチュワードを見て愛を感じたという
同じ境遇からくる同情=愛というあまりにお美しいお答え
あなたと違って顔じゃなくて良かったわ!というのが普通ではなかろうか

理想だけでは抗えない悲しくも利己的な本音
そこが彼女からは見えず、汚れたオレには美しすぎて共感できずじまい


もっとも面白かった点も少なくない

「人間は自由という刑に処されている」
選択の自由には必ずその結果に責任が伴う

サルトルの実存主義を教えているノーマならば
ボタンを押す「自由」と「責任」があることくらいわかるはず
それなのに追い詰められたノーマはボタン押して
身をもって責任を体験することになるという皮肉

また、途中で明らかになる不思議なボタンの存在理由
こちらもなるほど!と思わせる斬新さがあった
夫の職業がここにつながったときの驚きと納得は快感だ
願わくば、こういう部分がもっと欲しかった



キャメロン・ディアスにしては珍しく陰のある女性をうまく演じていたが
もともと明るくコミカルな部分にその魅力がある女優さんだと思う
ジュリアン・ムーアあたりだとしっくりくるが、ありきたりになってしまうだろうか

夫役のジェームズ・マースデンはX-Menのサイクロプスのイメージと重なり
人間くさい普通の男を味わい深く見せてくれた
ただ、申し訳ないがその容姿は、海パン履いていない小島よしおに見えちまった

謎の紳士スチュワード役のフランク・ランジェラは
黙って立っているだけで雰囲気がありハマっていたが無難で印象は薄い



結婚や就職など大きなものから、どこで昼食を取るかといった小さなものまで
考えてみると、人生は日々選択することの繰り返しだ

ときに誰かの不幸を承知で自らの幸せを選択し
ときに誰かの幸せのために自分の幸せのあきらめを選択する

つまり人間は生きているだけで毎日何らかの「運命のボタン」を押しているのだ
それは決して特別なことではなく、単にことが小さいだけに過ぎない
生きるということは必ず責任を負うことであり、無責任に生きることなどできない

改めてそんなことに気づかされた分だけ、見る価値はあったかもしれない

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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  • 悲しい
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  • 不気味
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