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アサルトガールズ (2009)

監督
押井守
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  • みたログ 214

2.02 / 評価:122件

退却戦のしんがり隊長の義務感

  • tukagosifujio さん
  • 2010年3月8日 18時01分
  • 閲覧数 269
  • 役立ち度 13
    • 総合評価
    • ★★★★★

 押井監督は非常に作家性の強い作品を作るが故に、毀誉褒貶相半ばする作品が多いのですが、本作は極平凡な意味において「成功作」とは言えません(「成功作とは言えない」という言い方で勘弁してください)。
 レンタル屋さんでお目当ての一本借りて、「ついでに何かもう一本」の時どうぞ。体にピッチリ戦闘服姿の黒木メイサさん、胸が結構大きい事に驚かれると思います。ヒップラインも綺麗。フィギュアが先にあって、それに合わせて生まれてきたような女優さんですね。佐伯日菜子さんも相変わらず無国籍風の不思議な魅力を湛えています。

 本映画は「女優さん綺麗、CG良く出来ている」で「評価終わり」の映画なんですが、この映画が製作された日本映画の状況は語られるべきかと思います。
 皆さん、最近、日本映画で「実写のファンタジー、SF映画」って観た事あります?(SF「的」設定に非ず)。無いでしょ。制作されてないんです。
 そして、「映画って作られなくなると、そのジャンルは死に絶えちゃうんだよ。」(パンフより監督の言葉)。舞台演劇をそのままスクリーンに移せば成立する現代劇と違って、「ファンタジー、SF」は小道具、舞台装置等と特殊効果、殺陣なんかが有機的に結合して、初めて成立しえるんです。一度そのノウハウやソフトが消滅しちゃうと復活できない(駄作でも制作されないよりまし)。

 この映画、邦画における「ファンタジー、SF」ジャンルへの「責務」から、押井監督は制作したと思います。次世代を担う若いクリエーター達への「大人の責任感」(『斬KILL』でも「次世代への責務」を意識した発言を監督はしていた)。
 押井監督を、その映画の作家性の強さから、「自己中心的、閉鎖的世界に閉じこもった(悪い意味での)オタク的監督」と捉えている人が多い気がしますが、実は逆(ただのオタクに「オタクうけ」する映画は作れない)。そして「責務」が社会的な概念である以上、これは「組織と私(個人)」というテーマの、彼が全共闘時代から辿りついた実存的帰結なのでしょう。
 「ファンタジーだSFだって言ってる限りは、僕は“呪われた監督”なんだろうけど、でもそれしか撮りたくないんだから(笑)」(同上)。「好き」って言う為には、「責務」を背負い込む覚悟が必要なんですね(恋愛だけの話に非ず)。

 ここで、いい加減なテーゼを一つ。
 「実写SF、ファンタジー映画を観れば、その国の国力が分かる」。
 無論これ、与太話なんですが、一寸は当たっている部分もあるのではないでしょうか。
 「ファンタジー、SF」っていうジャンルは、掛けた予算や時間、人材の豊かさの差が如実に出るジャンルと言って良いと思います。最近ではソフトウェア産業等の「科学技術」の差も反映される訳です。
 文芸映画なら、貧しい国でも傑作が撮られる事はありますが、「ファンタジー、SF」では絶対にあり得ない。
 
 本作品で、黒木メイサさんが殺陣に挑んでいますが、その練習期間はたった2日(ハリウッドでは普通一ヶ月程だそう)。
 かけられる予算も時間もハリウッドとは桁違い(だから、カット割りで誤魔化したしょぼい殺陣のシーンを見ても怒る気になれない。ただ悲しい気になる)。

 これから、日本のファンタジーやSF映画は間違いなく零落していく事と思います。
 ハリウッドには作れないタイプのファンタジーやSF映画が日本にはありました。これは世界の映画ファンにとって大きな損失だと思いますが、致し方ないことです。
 (「クールジャパン」のイメージに一役買った押井監督だって、これから資金が集まるか。「クールジャパン」の終了)

 
 自国の映画産業保護育成に熱心な国が多いのは何故だと思います?


 おまけ。パンフ記載のエピソード。
 撮影地、伊豆大島三原山の荒野は大変過酷な自然環境であったそう。身の危険を感じる程の突風の為、テント設営も適わず。「何人ものスタッフが身体を寄せ合って円陣を組み、女優をその中に入れて守る、という状況さえ見られた。」。
 黒木メイサさんを、か。それは少し羨ましいぞ。

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