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アサルトガールズ (2009)

監督
押井守
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  • みたログ 213

2.02 / 評価:121件

女優の扱いが下手。相手は人形じゃないんだ

  • Wakayama さん
  • 2010年9月28日 14時08分
  • 閲覧数 293
  • 役立ち度 6
    • 総合評価
    • ★★★★★

日本屈指のアニメ監督である押井守の実写映画は「実験的」と評されているようです。これだけアニメ業界で名を馳せつつ今なお新しい表現の可能性を探るその姿勢。それは本当に素晴らしく、尊敬に値します。しかし、仕上がった映画にまとわりつくこの"ダメさ"は何なのでしょうか?

この映画では、確かに他の実写映画では観れない独特な映像が拝めます。そこにはオリジナリティーを感じますし、感心もしました。しかし、そこから先がまるでダメです。

まずテーマ。実験には得意分野が望ましいのはわかりますが、押井監督の場合、自身が得意とする「虚構と現実・真実と嘘の曖昧さ」をメインテーマに据えた途端、オヤジの繰り言的な"臭味(くさみ)"を放ち始めます。

その臭味はアニメ作品にも存在しますが、アニメの場合は原作者が構築した作品世界(世界観やキャラクター、物語)があるため、その臭味は良い意味での"苦味"になります。言い変えれば原作の良さに輪郭を引く"隠し味"のような印象です。思うにこれが"押井節"と言われるモノの正体だと思いますが、この映画は完全に押井監督のオリジナルの作品世界ですので、その"臭味"はくさいまま作品内に放り出されます。しかも!「アサルトガールズ」では、開幕早々テロップ付のイメージ映像をバックにしてその全てを長々とナレーターに語らせるという仰天演出で垂れ流すため、「いい加減にしろやコラ・・・」という気分になりました(笑)

次に物語。経済成長が停止した近未来。人類は「アヴァロン(F)」と呼ばれる全感覚型の仮想世界によるロールプレイングゲームに興じていた。荒廃した砂漠の戦場で戦うのは3人の女ハンター、グレイ(黒木メイサ)、カーネル(佐伯日菜子)、ルシファー(菊地凛子)。ソロプレイを信条とする彼女達は犬猿の仲だったが、ある日伝説のモンスター「マダラ」に遭遇してしまう。ソロでは倒せない大物を前に撤退を余儀なくされた彼女達は、初めてパーティーを組むことを決意する。果たして彼女たちはマダラを倒すことができるのだろうか?

で、もちろん倒すことができるんですね(笑)物語はこれ以上でもこれ以下でもなく、とにかく"実験的な映像"内で綺麗なネーちゃん達が暴れるだけという様式です。で、ここからが最重要なのですが「それだけじゃダメなのか?」といことです。「綺麗なネーちゃんが暴れまくるだけでイイじゃん!」という映画はアリだと思うんですよ。そういう気分は理解できるし、実際それで良い場合もある。しかし!その場合はキャラクターが魅力的であることが大前提。「見てるだけで幸せ」というレベルが要求されます。

そういう視座でみると、今作には黒木メイサ、菊地凛子、佐伯日菜子という、各界の"見てるだけで幸せ"なポテンシャル十分の女優が出演しています。がしかし!この監督には役者の魅力を引きだす能力が決定的に欠けていると言わざるをえない。

映画「僕の彼女はサイボーグ」を思い出してください、あんなにクダラナイ映画なのに、綾瀬はるかの魅力が炸裂していました。「こんなに可愛い女の子がこの世にいるのか!?」というレベルです(笑)綾瀬はるかにメロメロになり、その魅力を全てスクリーンに焼き付けてやる!と意気込む監督の姿が目に浮かびます。これこそが「それだけでオッケイ!」な映画です。

それに対して今作のなんと不細工なことか。監督の女優への愛着が全く感じられません。いや、「攻殻機動隊」や「イノセンス」であれだけ"人形"を描いた人ですから、おそらく人形を愛でるような感覚で生身の人間に演出をつけてしまったのだと思います。しかし、彼女たちを動かすのは優秀なアニメーターではなく彼女たち自身。つまりは押井監督にとって完全に畑違いで能力不足。本来、演出家と役者のケミストリーで生まれるべき"生きたキャラクター"はそこにはいませんでした。

その他にも様々なダメポイントがあります。映画の流れを邪魔する止め絵。チャプター毎に挿入されるポエム。素人くさい銃火器の取り扱いと格闘技。ワンフレーズをしつこく繰り返すダレ場。寒いギャグ。謎の二宮金次郎像&カタツムリシーンなどなど、とにかくいろいろダメすぎます。

しかも!挙句の果てに展開されるのは、パトレイバーの「コラ~!遊馬ぁ~!」的なギャグ風味満載のラストときたもんだ(笑)

「映画を発明するのが自分の役割」と自認する監督の仕事には今後も注目しますが、監督にはゼロから作品世界を構築するオリジネーターの資質は無いのだと思います。その辺を自覚して、実写の場合は"実験的な映像"にのみ全力投球し、それ以外は人に任せる。そういうスタイルで制作してはいかがでしょうか?

押井監督には、これからも素晴らしい映像作品を作り続けて頂けることを期待しています。

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