解説
行方不明者が多発するアラスカ州ノームを舞台に、原因不明の現象の究明に迫る衝撃的な実録スリラー。2000年に起こった凄惨な出来事の渦中にいた心理学者が録画した記録映像の一部を本編に用い、『バイオハザード』のミラ・ジョヴォヴィッチがナビゲーターと、心理学者を演じる再現映像で世にも恐ろしい異変を描く。犠牲となった人たちの混乱と悲痛な叫び声、さらには現実のものとは思えないショック映像に息をのむ。
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あらすじ
アラスカ州ノーム。何者かに夫を殺害された心理学者のタイラー博士(ミラ・ジョヴォヴィッチ)は、夫の遺志を継ぐべくこの町特有の原因不明の不眠に苦しむ住民たちのカウンセリングに当たる。患者たちが一様に同じ症例を訴えることを不審に感じた彼女だったが、ある患者が謎の言語を発するとともに妻子を殺して自殺してしまい……。
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映画レポート

「THE 4TH KIND フォース・カインド」「映画にとって“リアル”とは何か」という問いを見る者に突きつける
映画にとって“リアル”とは何か。本作はこの問いを観客に突きつけてくる。
その前に、本作はまず“疑似ドキュメンタリー”の新たなバリエーションだ。このジャンルはここ数年、「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」「クローバーフィールド/HAKAISHA」「パラノーマル・アクティビティ」とヒット作を輩出してきたが、本作はその手法にひとつヒネリを加えている。
今回の手法は、従来のような「記録映像」の隣に、「それに基づいて撮影された映画」を並べて提示するというもの。「記録映像」は手持ちのホームビデオによる映像で、しばしば映像が乱れて被写体が歪む。「映画」はきちんとライティングされて演出された映像が映る。この2種の映像が同じサイズで映し出されると、「映画」の完成度の高い映像が、「記録映像」をより本物らしく感じさせるのだ。
だが、この瞬間に出現するのが、冒頭の問いだ。映画にとって“リアル”とはどのような意味を持つ事柄なのか。「現実のリアル」と「映画のリアル」は別ものなはずではなかったか。こうした映画の根源に関わる問いが出現してしまうのだ。
と、同時に生じる疑問がある。今、私たちは、ホームビデオの粗いデジタル映像のほうが、フィルムのなめらかな質感よりもリアルに感じられる世界に生きているのではないか。それが「映画のリアル」を変質させようとしているのではないか。本作はそんな問いをも投げかけてくる。(平沢薫)
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2009年12月17日 更新