そこいらの邦画よりよっぽど面白い
- ryo***** さん
- 2009年10月1日 19時11分
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- 総合評価
いわゆる東映Vシネマ路線の作品で、原作漫画の設定もかなり無理矢理で強引なんだけど、意外や意外結構楽しめる作品だった。何ていうか無理をしていないっていうか、キチンと見せるべき処は見せ、語る処は語るという、映画製作の基本がシッカリしているのだ。叩き上げ監督だからこそできる映画の本質を忘れずに造られた作品と云えるだろう。
ごく普通のサラリーマンである稲葉十吉が、ある出来事をキッカケに伝説と云われたヒットマンの名を継ぐ事になる。そんなのあり得ない話だし、実際物語も相当に強引な展開が続くのだが、何故か不思議と違和感なく観れてしまう。十吉の怒涛のような巻き込まれ具合が、テンポがいい事もありリズムよく受け入れる事ができるのだ。
それに十吉は最後の最後まで普通の人同様に当然”ヘタレのまま”であり、危機回避の手段も置かれた状況を打破するための必死なもがきでしかない。それも(ちょっと強引ではあるが)十吉自身の人間性を踏まえた上で、納得できる範囲での行動しか起こす事はない。そんな普通の人間性を見せるからこそ思いの他十吉に感情移入する事ができるのだ。
主演の十吉を演じた武田真治は本来二枚目であり、本物のヒットマン役でも務まりそうな佇まいだが、今回ちょっと抑え気味の小市民を好演している。まああんなにカッコイイ営業マンそうはいないだろうが。十吉のパートナーとなるちなつを演じた森下悠里は結構体当たりで演じており、今までと比べも役者としてのハクが付いてきたようだ。森下の体当たり演技のために起用されたであろう前田健も、意外に似合う役柄で驚いた。
そして何といっても笑かしてくれたのが裏社会の組織”コンビニ”の店長を演じた津田寛治だ。奴の冷酷無情なまでのヒトデナシ具合が面白過ぎる。確かにコイツはロクな死に方をしないだろう。こんな役を際立たせる脚本も凄いが、津田寛治はこういったクセのある役柄を演じさせると天下一品だなぁと改めて思う。
私は総合的な評価として☆3つにしたが、東映Vシネ路線が好きな人には堪らない作品になっている。一般的なVシネと比べても完成度は高く、娯楽映画としても満足いく仕上がりと云えるだろう。そこいらの邦画を観るよりよっぽど充実した時間を過ごせる作品だぞ!
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