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提督の戦艦

提督の戦艦

ADMIRAL

119

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5.0

壮絶な海戦シーン、運命の恋

帝政ロシア末期、実在の軍人の生涯と、人生のすべてを彼に捧げようとする女性を描いた歴史大作。ロシア映画。 この映画はCG映像技術を駆使して重厚で迫力ある海戦シーンを描くのに成功している。ただし、史実に忠実なので後半の戦闘シーンは地上戦に限定される。事実だからしかたないが前半の海戦シーンがあまりに見事なので、後半は地味な印象になる。 邦題は半分過大表現。原題は「Admiral」だけ。 実在のアレクサンドル・コルチャークは大変数奇な運命をたどっており、映画では後半生のごく一部を描いているのみだが、しっかりその有能ぶりやカリスマ性を描けているように思う。 冷静沈着にして勇猛果断なタイプで、大勢の部下が強大な敵艦の砲撃にさらされつぎつぎに命を落としても決して情に流されず、一歩も引かずに国を脅かす強大な敵軍に自ら反撃の一矢を放つ姿や、自軍の機雷を活用して大鑑を轟沈させる序盤のシークエンスはこの映画の全編を通しての見せ場であると同時に後半の革命軍との確執へと転じていく象徴的な部分。 その冷徹なはずの提督が、部下の妻であるアンナ(演じる女優はミシェルファイファーに似た美人。はまり役!)と恋に落ちていく。恋に落ちるきっかけもひねりがあって面白い。ふたりの間柄は度重なる遠征や動乱の中でなかなか進展しないが、お互いへの思いの強さがどんどん強くなって行き、ついにアンナは夫と別れてアレクサンドルを追う。 シベリアに舞台を移し、愛国者のアレクサンドルは総司令官として赤軍との激しい内戦に身を投じていく。「スターリングラード」などでも描かれていたが、ロシアの兵士たちの厳冬下での過酷な戦いは半端ではない。前半戦もそうだが容赦ない過酷で厳しい戦闘シーンが続く。 そんな中、自らの運命を悟ったアレクサンドルは再会したアンナに自分の感情に正直でありたいと告げる。 「タイタニック」を思わせる演出なども随所にあったし、もっと史実のみを追う作り方もあっただろう。どっちつかずな印象もあり。 が、新鋭の若いロシアの監督が当時の複雑な状況を今の視点で描いているので、とかく馴染みのない当時のロシアの激動の時代を客観的に興味深く見ることができた。 題材が一般的ではない(予備知識普通ないし)し、俳優も監督も知られていないので観賞に躊躇する人が多いと思われるが、もし興味を引かれた方はぜひ。見応えのある佳作だと思います。

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