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抱擁のかけら
2010年2月6日公開

抱擁のかけら

LOS ABRAZOS ROTOS/BROKEN EMBRACES

PG121282010年2月6日公開

一人旅

4.0

愛の断片を拾い集めて

ペドロ・アルモドバル監督作。 映画監督と夢見る新人女優の哀しき愛の顛末を描いたドラマ。 スペインの巨匠:ペドロ・アルモドバルがペネロペ・クルスを主演に迎えて撮り上げたオリジナル脚本による恋愛&人間ドラマの佳作で、14年前の不幸な事故によって失明した元映画監督の男:マテオと、その当時撮影を通じて彼と知り合った新人女優:レナの愛の顛末を、現在(2008)と過去(1994年)を交錯させた巧みな物語構成によって描き出しています。 14年前の耐え難い過去の記憶を消し去って生きてきたマテオ自身の口から、忘れ難いレナとの出逢いと愛情の経緯が語られていく恋愛劇で、レナを富と権力で支配する嫉妬深いパトロンの男とのスリリングな三角関係や、現在のマテオの前に姿を現した亡きパトロンの謎めいた息子の存在が、監督&女優のシンプルな恋愛ドラマに留まらない-“嫉妬と愛憎が交錯した複雑な人間関係&過去から現在に亘って影響を与え続ける男女の愛情の軌跡”が重厚かつシリアスに語られていきます。 悲劇的な愛の記憶の真相を当事者の口から丁寧に紐解いていくミステリータッチの人間ドラマであり、ばらばらになった写真の断片のカットや、長らく未完状態だった映画に再編集を施すシーン等に、本作のテーマ-“散り散りになった記憶の断片を拾集し、一つの完結した物語として再構築する”が象徴的に表れています。 主演のペネロペ・クルスは快活と懊悩を上手に使い分けた演技を彼女本来の持ち味-くっきりとした喜怒哀楽&妖艶な肉体美をアピールしつつ見せてくれますし、マテオが撮る新作映画のワンシーンではアルモドバル初期時代からの常連:ロッシ・デ・パルマが顔を見せています(ファン必見)。

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