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劔岳 撮影の記 標高3000メートル、激闘の873日 (2009)

監督
大澤嘉工
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3.36 / 評価:75件

記録の記は、苦行の記。

  • fortunate orange juice さん
  • 2010年8月30日 23時54分
  • 閲覧数 447
  • 役立ち度 7
    • 総合評価
    • ★★★★★

冒頭から、暗がりの中を歩く列。
そして<情熱大陸>でおなじみの窪田さんのナレーションで始まります。

「これは撮影ではなく、苦行なのだ。」
そのようなことを、監督は現場に入る前のスタッフ全員に向かって言います。
くるくると変わる天気。
常駐する神主さえ10年に1度と感嘆した、美しい朝日。
その神々しさに監督が涙したという景色。
人間なんて、ちっぽけなものだ。
大自然を目の前にした時、よく思う感情であり、多用される言葉でもありますが。
人の力が及ばないものを相手に仕事をするという厳しさ、美しさが目の前に広がるのです。

数時間かけて山に登っても、カメラを回せずに帰る日。
季節の変わり目、指示も聞き取れぬほどの強い雨に打たれる日。
いつ崩れ落ちてもおかしくない残雪に立つ日。
空気も薄く気温も低い中、雲の中から剣岳が現れるのを何時間も待ち続ける日。
命綱を使って難壁に登る日。
飛ばされそうな寒風に身をさらされる日。
中で怪我を負う者あり、苦しい涙を流す者あり。
登って、撮影して、降りる。
スタッフも、キャストも、みんな一緒に。
そんな<過酷>というたった二文字には収めきれない、
重い1日1日の積み重ねでこの映画が創られたのことをありのままに教えてくれます。

「別に地図が白くても良かったんじゃないかって気がしてくるよ。」
出番はまだないけれど山に慣れるため同行し、そのしょっぱなから命綱を使わされる
トオルさんと小市さん。
あまりの大変さにに思わず漏らしてしまうそのセリフの「そうだよね~」と
同調したくなります。

「おかしいよ~。朝四時から歩いて、まだ何にもしてないの。」
(テント場に用意された山岳会用の当時最新鋭の登山用品と自分の衣装を見比べて)
「これだよ水筒?もうじょぼじょぼでこぼれてるっちゅうの。」
「ありえないもん、これ。裸足で歩いてるもん。」
本編では、地味だけれども誠実な案内人を演じた香川さん。
様々な場面で、笑いを含んだコメントや人を気遣う言葉をサラッと入れて
空気を和ませてくれる様子にも思わず笑ってしまいます。
(ファンの皆さん、山上での入浴のサービスカットもありますよ!笑。)

時には吹き替えもこなした山岳ガイドの皆さん。
無事に取り終えられるかも分からない。
自分の担当を取っ払って、みな一丸となって厳しい環境で働いたスタッフ。
そのような状況の中で、頂上にたどりつく(撮影を終える)という最終目標に向かって
みんなが一つになりゆく姿が、カッコ良くも、時折うらやましくも思えました。


これは決してただの<メイキング>ではなく、もう一つの「点の記」です。

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