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インビクタス/負けざる者たち (2009)

INVICTUS

監督
クリント・イーストウッド
  • みたいムービー 1,141
  • みたログ 5,457

4.13 / 評価:2,445件

「映画」を超えてしまった映画

  • ガーディアン さん
  • 2009年12月18日 23時54分
  • 閲覧数 2537
  • 役立ち度 215
    • 総合評価
    • ★★★★★

「種(しゅ)において完璧なものは種を超える」
作家の開高健が、よくそう書いていた。
たとえば、ここに完璧なワインがあったら、人はそれを口に含んだ瞬間
「これがワインなら、自分が今までワインだと思って
飲んでいたのは何だったのか」と思うだろう。
完璧なワインは、もはやワインというジャンルを超えた、何か別種のものになっている。

試写会でこの映画を観て、その言葉を思い出した。
イーストウッド監督の最新作であるこの作品は
もはや「映画」の範疇を超え始めているのではと感じた。
その感動は、質、高さ、深さ、自然さ、まっすぐさ、太さ、力において
自分としては未体験のものだった。
恐るべきことである。

感動的な実話に基づいていることも、そう感じた一因だろうけれど
実話をベースにした優れた映画作品なら、今までにもあった。
ドキュメンタリー映画の秀作も、少しは観てきた。
しかし、この作品には、どんな実話ベースのドラマやドキュメンタリーとも違う
別次元の真実性をあらしめていると言いたくなるものがある。

どこが? どんな風に?

まず、脚本、映像、演技など、すべてにおいて作為性を露ほども感じなかった。
それから、同じイーストウッド監督の「チェンジリング」にも感じたことだが
観客の気持ちをグリップ=わしづかみにして離さない力において、比類がない。
そしてストーリーの進み方は、まるでナイアガラの滝の莫大な水流のように
「そうなるしかない」という必然性や運命すら感じさせながら
圧倒的なパワーで、クライマックスとラストに向けて流れ落ちていく。

これは、南アの元大統領、ネルソン・マンデラの人生の記録である。
南ア代表のラグビーチームのキャプテンとメンバーたちの実話である。
長年のアパルトヘイト政策に苦しみ抜いてきた国家の真実の歴史である。
白人や黒人、さまざまな人種からなる国民の1990年代の叙事詩である。
国中の希望を背負って奇跡的勝利をつかんだスポーツマンたちの伝説である。
そのスポーツマンたちを鼓舞し栄冠に導いた、偉大な政治指導者の伝記である。
彼は政治犯として27年間の独房生活を送ったのち、出獄して大統領に選ばれた。
そして「変化への意志」と「戦略」と、何より白人たちへの「許し」の心でもって
レインボー・ネーションと呼ばれる多彩な人種からなる4300万人の未来を変えた。
この映画は、それらすべての要素を合わせた以上の高みにある、何か偉大なものである。
そう、私には感じられた。

映画を観るほどの方なら、これを観ない手はないだろう。
是非、多くの映画ファンの方々の、本作へのレビューを読んでみたい。

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