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第9地区 (2009)

DISTRICT 9

監督
ニール・ブロムカンプ
  • みたいムービー 777
  • みたログ 7,210

3.79 / 評価:3407件

解説

『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのピーター・ジャクソンが製作を担当し、アメリカでスマッシュヒットを記録したSFムービー。突然地球に難民として降り立った正体不明の“彼ら”と共に暮らすことになる人間の困惑と、マイノリティーとして生きる“彼ら”とのドラマをしっかりと見せる。本作で監督と脚本を担当し、デビューを飾ったのは新人のニール・ブロンカンプ。俳優たちも無名ながらも迫真の演技を披露する。そのオリジナリティーあふれる物語と、摩訶(まか)不思議な“彼ら”の造形に目を奪われる。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

ある日、ほかの惑星から正体不明の難民を乗せた謎の宇宙船が、突如南アフリカ上空に姿を現す。攻撃もしてこない彼らと人間は、共同生活をすることになる。彼らが最初に出現してから28年後、共同居住地区である第9区のスラム化により、超国家機関MNUは難民の強制収容所移住計画を立てるのだが……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2009 District9 Ltd All Rights Reserved.
(C)2009 District9 Ltd All Rights Reserved.

「第9地区」SFを触媒に社会問題を照射しつつ、娯楽精神に満ちた大活劇へ昇華する

 語り口も視覚的にも極めて斬新。疑似ニュース映像で引き込み、果ては壮大なアクションを堪能させる。実験的手法と大衆性を同居させた新鋭ニール・ブロムカンプの手によって、ありふれたモチーフや話法が生彩を放ち始めるのだ。

 巨大UFOがヨハネスブルグ上空に覆い被さる非日常的な光景にまずは驚かされる。工業地帯を逆さにしたような母船の中に居たのは、侵略者ではなく大量の難民。差別の対象としてのエイリアン像は、南ア生まれでアパルトヘイトを知るブロムカンプの原風景であり、今なお地上から消えない移民問題を彷彿とさせる。そう、本作のモキュメンタリー形式は虚実を曖昧にするのではなく、SFを触媒に現実を照射するために意味を成す。国連を揶揄したような難民管理組織の職員の身に起こる事態から物語は動き出すのだが、被差別者の立場を思い知らせる仕掛けこそ真骨頂。視点は切替わり、醜悪な生き物にまで感情移入させる演出マジックが冴えわたる。

 繰り返されるイメージがある。堅牢な円盤内の生理的な造形、甲殻生物の臓物、人体の変異、あるいは国家の中のスラム化した特区。それは秩序という硬い甲羅の下で抑圧された無秩序が露わになる文明批判に他ならない。そんな構造を突き破り、なんとクライマックスではロボットアニメ魂を披露し、さらにはハートウォーミング路線へとなだれ込むという超絶技巧。カナダ育ちのブロムカンプは、クローネンバーグの内臓を備えながらスピルバーグの精神を併せもつハイブリッドであることを高らかに宣言する。(清水節)

映画.com(外部リンク)

2010年4月1日 更新

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