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メーヌ・オセアン

メーヌ・オセアン

MAINE OCEAN

135

まるたん

3.0

不可思議なバカンス

実になんとも不思議な映画です。 主人公が次々にバトンタッチしていくようなストーリー展開がひとつのミソでしょう。 「メーヌ・オセアン」とは、ちなみにこの物語の起点となる深夜急行?の列車の名前です。 ところが、このメーヌ・オセアンも最初の1/3くらいは積極的に物語の舞台を引き受けているのですが、途中からまったく姿をあらわされなくなります。 なんだか、実に不思議な人物配置です。 では、あらすじからご紹介。 深夜列車に飛び乗るブラジル人ダンサーは、言葉がわからないために、切符に鋏を入れることをしなかったことでトラブルを起こす。 弁護士と名乗る女は、そんなダンサーの味方になるが、アタマの硬い車掌に、結局は罰金をとられることになる。 弁護士は、漁師の男の暴行事件の弁護のために列車にのっていたのだが、海が見たいと言っていたブラジル人ダンサーを誘い、その裁判に付き添わせる。 女弁護士のトンチンカンな法廷答弁で、結局漁師は即日敗訴。 怒り狂った漁師は早々に裁判所から引き上げるのだが、弁護士の女とブラジル人の女は、バカンスにその漁師の島に渡ることにする。 島に向かう途中、偶然またであった車掌の同僚の乗務員の男は、意外とブラジル人ダンサーに好意的で、弁護士の女の提案で一緒に島に渡ることになる。 待ち受ける漁師は、なぜか、訴えられた相手とともに、ブラジル人を邪険に扱った車掌たちにご立腹。その車掌達をぶっとばしてやる!といきまいているのだが・・・。 ブラジル人ダンサーを追って、はるばるニューヨークから島までやってきた芸能プロダクションの男も登場して、舞台まわしにからんできたり、田舎の漁師町の一晩の音楽の楽しみなども微妙に面白い。 最終的にバカンスのためにやってきた漁師の島の一夜がポイントとなりつつ、カメラとストーリーが、「主人公」をパスしていくようです。 最初に言葉のできないブラジル人ダンサー  ↓ それをかばう怪しげな風情の女弁護士  ↓ 女弁護士のクライアントで結局敗訴する短気で粗暴な漁師  ↓ ブラジル人に下心丸出しで島への旅行についていく非番の列車乗務員  ↓ 【ここで島の楽しい一夜】  ↓ ニューヨークからダンサーを追ってやってきたプロデューサー  ↓ プロデューサーにだまされてことになる車掌 ラストシーンは、延々と意味があるのかないのかさっぱりわからない干拓地?の情景。どうして、ここがこういうシーンとなるのか皆目検討がつかないのだが、これはこれでなんだか美しいシーンのように見ていればいいのだろうか。 監督、ジャック・ロジェは、「アデュー・フィリーピーヌ」でヌーヴェル・ヴァーグの中から現れたわけですが、作品は寡作・・・というか、「アデュー・フィリピーヌ」も興行的にはうまくいかなかったようで、長編はわずか5作品しか監督していない。 そして、名作とも評価がある(未見)、「オルエットの方へ」から15年ぶりに撮った作品がこれで、そして最後の作品。 だとしたら、なんともはや。こんなとぼけた素っ頓狂な映画を満を持して撮る監督っていうのはなんじゃろうか。 一応書いておきますが、これは悪口ではありません。なかなかのものです。 この「メーヌ・オセアン」にて、ジャック・ロジェは60歳ながら、新人監督に与えられるジャン・ヴィゴ賞を受賞したそうな。 渋谷ユーロスペース特集「ジャック・ロジェのバカンス」にて鑑賞。

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