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川の底からこんにちは (2009)

監督
石井裕也
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3.70 / 評価:726件

解説

仕事も人生も妥協して生きてきたヒロインが実家に戻り、病気で倒れた父親の営むしじみ加工工場の再建に奮闘する人生応援歌。工場の従業員には相手にされず恋人に浮気されながらも、どん底から開き直って成長していくヒロインを『愛のむきだし』の満島ひかりが熱演する。メガホンを取るのは、『剥き出しにっぽん』などで国内外から高い注目を集める石井裕也。夢や希望を持ちにくい世の中で、中途半端に生きてきた人々が逆境に立ち向かっていく姿が共感を誘う。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

上京して5年、仕事も恋愛もうまくいかず妥協した日々を送る佐和子(満島ひかり)は、父親が病で倒れたことから帰郷。一人娘のため父が営むしじみ加工工場の後を継ぐことになるが、従業員のおばさんたちには相手にされず、会社の経営も倒産寸前に追い込まれていた。その上、一緒に工場の後継ぎになりたいと付いてきた恋人にまで浮気されてしまう。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)PFFパートナーズ=ぴあ、TBS、TOKYO FM、IMAGICA、エイベックス・エンタテインメント、USEN
(C)PFFパートナーズ=ぴあ、TBS、TOKYO FM、IMAGICA、エイベックス・エンタテインメント、USEN

「川の底からこんにちは」大衆娯楽映画の骨法を遵守したオフ・ビートなローカル・コメディ

 PFFのグランプリほか数々の受賞歴を誇る期待の新鋭・石井裕也の商業映画デビュー作は、正統的な大衆娯楽映画の骨法を遵守しながらも、大阪芸大の先輩・山下敦弘の「バカのハコ船」を想わせるオフ・ビートなローカル・コメディの快作に仕上がった。

 男にも都会生活にも疲れ果てた派遣OLが、ガンで余命わずかな父親のしじみ工場を引き継ぎ、再生させるという旧弊で古典的なプロットを嫌みなく牽引するのは、今、最も輝いている満島ひかりの千変万化する表情の圧倒的な魅力である。

 自主映画時代から石井作品には、排泄物への奇妙な執着、母性への屈折した憧憬が垣間見えたが、本作でも、冒頭、満島ひかりがエステで腸内洗浄されながら浮かべる放心の表情や、朝の勤行のように黙々と糞尿を畑にかける行為が印象的だ。子連れで付いてきた恋人のふがいなさにあきれ果て、一発奮起して、戦闘モードで、自転車に子供を乗せて幼稚園へと疾走する場面は、内に欠損として抱えていたヒロインの母性が一気に噴出した証しとして秀逸だ。亡くなった父親が工場で働く性欲ではち切れそうなオバちゃんたち全員とデキていたという艶笑小話のようなオチは、彼女の家出の一因であり、オブセッションでもあった<新しいお母さん>の混濁したイメージを、強引に、ご都合主義的なハッピーエンドとして解消させてしまう荒業で、なかなかに不敵である。(高崎俊夫)

映画.com(外部リンク)

2010年4月22日 更新

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