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ベロニカは死ぬことにした (2009)

VERONIKA DECIDES TO DIE

監督
エミリー・ヤング
  • みたいムービー 5
  • みたログ 66

2.95 / 評価:22件

うつ病を治療するショック療法。

  • CONRAD さん
  • 2012年10月26日 15時57分
  • 閲覧数 994
  • 役立ち度 6
    • 総合評価
    • ★★★★★

睡眠薬や向精神薬を一錠ずつ喉の奥の方にウィスキーで流し込む。
少量の水をちびちび飲用しつつ、もよおす嘔気を抑え込む。
「あなたたちは悪くない」せめてもの償いに、両親への最期の言葉。
キーボードで打ち込むとうつろな目を画面にやり、思いとどまる。
心のどこかで責める。
私がここまで苦しんだのはあなたたちのせいでもある。
Back spaceですべて消し去り、たまたま目に着いたファッション誌の表現に嫌悪する。
「黒よりも黒い緑」

この世は嘘で溢れている。
当たり障りのない言葉で着飾り、多くの人は真実に気づこうとしない。
優しい男性に出会い恋に落ちる。
両親もこの人を気に入ってくれる。
最初の1年は、毎日のように求め合った。
やがて回数は減っていく。
お互いが飽きた頃に子供が産まれ。
忙しい私に夫は目もくれなくなる。
夫は浮気をする。
「ふたりとも殺して、私も死ぬ」
許せなかったが、結局は夫を許す。
やがて夫は2回目の浮気。
私は気づかないふりをする。
だって騒いだところで、もうどうしようもないんだから。
どんな将来を思い描いたって。
誰の人生も普遍だ。
これから先、生きていくことに、
いったいどんな意味があるというのだろう?


冒頭の演出は秀逸。
うつ病の世界観が、淀んで映像化されている。
一命をとりとめ、目が覚めたら精神病院。
心臓の病気で、余命数週間だと知らされる。
ベロニカは死ぬことにした。
だが死ねなかった。
ベロニカは死ぬ運命にあった。
自分の死をコントロールできなかった。

交通事故で恋人を亡くしたPTSDから適応障害に至ったイケメン男性。
それぞれの事情で入院している患者たちとの出会い。
時代設定がいつ頃だろうか定かではないが、
この精神病院で行っている治療法、なんともバラエティに富んでいる。
「薬物療法」はもちろん。
向精神薬を投与することで症状の改善を目指す。
「インスリン・ショック療法」
現代では行っている医療機関はないだろう。(一説によると1950年代にすたれたというが)
インスリン注射で血糖値を下げて患者を昏睡状態に至らせる。
「電気けいれん療法」
今でも行っている医療機関は多くある。
一時期、人道的に問題があるとしてすたれたが、近年また多用されている印象すらある。
頭部に電極を当てて通電することで人為的にけいれん発作を誘発する。

大量服薬(オーバードーズ)で自殺を試みたベロニカに施される治療法は?


「死期宣告療法」
患者に嘘の疾患と余命を伝えることで、生きることの素晴らしさに気づいてもらう療法。
実際の医療では絶対に行っちゃいけない倫理的に問題あり過ぎる治療。
発想の転換って必要なのかもしれない。
人ってどうあがいても、死ぬことを意識しなければ、生きることを考えない。
みんな「真剣に生きろ」「必死に生きろ」「自殺しちゃダメだ」
まるで生きることが最も価値あることのように説教するくせに「死ぬこと」について何も語らない。
生きる意味を教えてくれる人は誰?
生きる意味を見いだせない。
この先の絶望を予期して否定できない。
なら、なぜ今死ぬことを自分で選択したらダメなのか?
誰にも等しく訪れる死なのに。
誰か教えてほしい。
死んじゃダメな理由を。


真木よう子が初ヌードシーンに挑んだ邦画「ベロニカは死ぬことにした」(2005)の方が、こちらの米国産映画「ベロニカは死ぬことにした」(2009)よりも有名のようである。
あちらは真木よう子ががむしゃらに演技しているのも見所なのかな。
原作の小説が面白そう。
2012年には西浦正記演出で舞台にもなっている。

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詳細評価

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