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孤高のメス (2010)

監督
成島出
  • みたいムービー 495
  • みたログ 2,373

4.13 / 評価:1173件

いい映画です。その理由は

  • ゆうり さん
  • 2010年5月18日 17時56分
  • 閲覧数 865
  • 役立ち度 99
    • 総合評価
    • ★★★★★

ベタな褒め言葉ですが、いい映画でした。
美辞麗句を捧げることもできるのですが、この作品には、単純な褒め言葉がふさわしいと思いました。
では、いい映画と思ったその要素を挙げていきます。

まず個人的最大理由は、見終わった後の気持ちが爽やかになり、世の中まだ捨てたもんじゃないと思わせてくれるところ。自分ももう少し仕事を頑張ってみようという前向きな気持にさせてくれるところですね。

この作品は、医療現場という特殊な世界を舞台にしていますが、語られているテーマは普遍的なものがいくつかあります。そのひとつとして、自分の仕事に対する姿勢と取り組み方、そして信念の持ち方でしょうか。
医療の仕事は人の生命と健康に直接結びついています。成果がすぐわかります。
その分、責任は重くドラマティックになりやすいのですが、世の中にはそんな仕事ばかりじゃありません。家事も含み、地味なもののほうが多いでしょう。

そんな中で、誰でも自分の仕事に対して、または職場の確執やしがらみ対して、「何のためにこの仕事をしているんだろう」「これでいいのだろうか」「自分のやっていることは無駄じゃないのか、間違いじゃないのか」と、そんなふうに悩んだり迷ったりしたことがあるのではないでしょうか。
自分の仕事に対して何らかの意味や価値が見出せないと、モチベーションがぐっと下がります。
作中の看護師、浪子がちょうどその状態。彼女の心境は、多くの人が経験したことがあるのではないでしょうか。

しかし浪子のそんなくすぶりは、主人公の当麻哲彦医師に会うことで解消されていきます。

堤真一さん演じる主人公の当麻先生が非常に魅力的で、かっこいいのです。
性格はお茶目で鈍くて、そこは可愛いらしいのですが、この人の尊敬すべきところはぶれないところでしょうか。
自分の仕事に信念と誇りを持っています。常に全力投球です。外科医の腕前は日本最高レベルのものなのに、決しておごらず手抜きもせず、部下にも親切丁寧に指導をします。

そんな素敵な当麻先生に、浪子もすっかり心酔しますが、そこで二人をありがちで安易な恋愛関係にしてしまわないところもこの作品のいいところです。

自分たちにはこんなことができるんだ、これだけの可能性があるんだ。人の役に立てるんだ。

当麻先生の出現により、浪子を始めとして周囲の人が変わります。自信と誇りを取り戻して生き生きと輝き出します。実に爽やかです。

ここまで劇的ではないにしても、仕事に対してこの種の喜びを感じた経験がある人もやはり多いのではないかと思います。
実際は仕事って苦労のほうが多くて毎日忍耐を強いられて、喜びなんて一瞬かもしれません。
それでも苦労の先にこれだけの思いができるなら、それを分かち合える仲間や喜んでくれる人がいるなら、もう少し頑張ってみようという気にさせられます。

作品にはタイムリーな医療問題が扱われています。
地方でも安心して医者にかかるにはどんな体制であるべきか、臓器移植の基準と考え方はどうあるべきか。とても難しい問題です。
そんな中で、ある登場人物の哀しすぎる決断が、ストーリーの鍵になってきます。

自分だったらどうするだろう?考えずにはいられません。
例え必要とわかっていても、望まれていたにしても、それが今の段階でベストの選択だったとしても、あの状況でそんな決断はできない気がします。その決断は、わが身が裂かれるほど辛いと思います。

しかし作中では、そんな登場人物の心情やそこに至るまでの状況と人間性を丁寧に描かれていたので、唐突さはなかったですね。そうなる必然性があり、都合の良さは感じませんでした。

こんなふうに、よく練られた脚本だなあと思います。
製作者サイドの、「いいものを作ろう、しっかりとしたものを作ろう」そんな意気込みが伝わってきます。

脚本がよく、役者さんたちがよく、観た人が少し勇気付けられる。
それはやはり『いい作品』ですね。

手術シーンはかなりリアルにこだわって撮影されているので、苦手な方もいるかもしれません。そこは薄目や伏せ目で乗り切ってください。工夫して観る価値はあると思います。

最後に、生瀬さんの三流悪役ぶりも見所ですよ。

詳細評価

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