2010年4月17日公開

ただいま それぞれの居場所

962010年4月17日公開
ただいま それぞれの居場所
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作品情報上映スケジュールレビュー

あらすじ・解説

介護保険制度導入から10年目、京都に小さな介護施設「優人」が誕生する。28歳の園長は家族と共に普通の民家で介護サービスを始め、制度からこぼれてしまう人たちを救済しようと奮闘する。一方、創立23年の老舗施設「元気な亀さん」では、ほかの施設から追い出された人々に手を差し伸べ、画一的な介護制度と闘っていた。

シネマトゥデイ(外部リンク)

作品レビュー(4件)

かっこいい23.5%切ない17.6%勇敢11.8%かわいい11.8%楽しい11.8%

  • sav********

    4.0

    環境にあわせるか 環境があわせるか

    GW最終日 新宿で2本鑑賞したのち、 新宿ピカデリー前の都営バス停で なにかの収録をしていたマツコ・デラックスを 横目に見ながら「時間がない、時間がない!」と 早足で汗を滴り落としながら、東中野へと向かいました。 全国順次公開予定とはいえ 単館&大掛かりなプロモーションも していませんので、劇場は10名ちょっとの入りでした。 ☆彡     ☆彡 〈 居場所 〉 2000年4月1日にスタートした介護保険制度。 介護サービス施設は飛躍的に増えましたが、 当制度に当てはまりきらず介護を受けられない人、 そもそも介護保険制度を拒否する人、そんな人たちの 受け皿となるべく設立された民間介護施設を追ったドキュメンタリーです。 『精神』のように1箇所の精神病院を追うのでなく、 『犬と猫と人間と』のように複数の民間介護施設を 取材していましたので、説得力があると同時に、それだけの数の 施設があることと、それだけ介護保険制度に適用しない要介護者が いることに、まず、驚きました。 個人的に 「えっ?そうなの?知らなかった」と刺さったのは 介護保険制度を受ける介護施設の介護者は散歩禁止だということ。 つまり言い方、悪いですが“軟禁状態”ですよね。 介護を受ける側は“環境にあわせる”しかありません。 しかし、当然はみ出す人も出てきます。 ここで、“環境があわせにいく”、介護者一人一人の ニーズに応えた民間介護施設が、登場するわけです。 いずれの施設にも共通しているのは、 複数の介護者、複数のスタッフがいながらも、 原則全員に対して1対1で向き合っていること。 朝の挨拶、お遊戯の時間などがある施設もありますが、 基本、横並びの介護ではなく、オーダーメイド型の介護のスタンスをとっています。 すぐ外に出て行ってしまう人 すぐ怒り出してしまう人 まだ仕事を現役でしていると思い込んでいる人 いま何処にいるのか突然わからなくなってしまう人 様々な人が施設の中にはいらっしゃいます。 意外だったのは、そんな民間施設を運営する人たちの 年齢層の幅広さ。下は20歳から上は60歳を越えています。 介護を受ける側と介護スタッフが 同じ年齢なんて場面もありました。 介護スタッフ側も様々。 介護保険制度にあわない人のため 介護が必要になった父親を見たのがきっかけ 以前働いていた介護施設に、何か違うんじゃないかと考え設立 などなど、色々なパターンがありました。 ただ、全員に共通していたのは、 とても生きがいを感じて表情が生き生きとしていたこと。 スタッフが明るいから介護者も明るくなるのでしょう。 一方、 一人一人から教えられることがある、毎日が勉強です。 そう謙虚に努める真摯な姿勢もあり、そこから生まれる 双方の信頼関係は、なにも今回登場する介護施設だけに あてはまるものではなく、社会全体にあてはまることではないでしょうか。 ☆彡     ☆彡 どこにも“居場所がない” そんな想いに苛まれる人にも “居場所がある”ことを教えてくれる非凡な作品でした。

  • kaz********

    4.0

    理想を伝える必要と、現実を考える必要。

    介護保険制度から外れたところで、介護と向き合う職員と、利用する高齢者のドキュメント。知ったような口を叩くのは失礼と知りながら、一応福祉を学んだ身として、そして祖母の介護に直面する家族としてレビューさせて頂きます。 百人がいれば百通りの介護がある。画一的な介護に疑問を感じ、制度の枠を超えて利用者と向き合う崇高な理念には頭が下がるだけであり、これに非を唱えれる人はいないと思います。物語中の家族の言葉で改めて認識しましたが、痴呆になっていようが、寝たきりだろうが、一人の人間であり、喜怒哀楽を持った存在です。高齢者は今の社会を築いて来られた存在であることは間違いなく、彼らが幸せな余生を送れるよう尽力することは、我々の義務であることは言うまでもありません。 しかし、理想と現実の間には必ずギャップがあります。この部分を無視して、理想を突き進む現場だけを見せる本作には、きれいごとでお茶を濁そうとする雰囲気を感じました。 まずマンパワーが圧倒的に足りない。百人に百通りの介護をするために、百人のヘルパーをつけるなんて不可能。徘徊する老人を繋ぎ止めず、一緒になって歩いて散歩してたら、とてもじゃないけど身体がもちません。介護職が大人気で人が余って仕方ないっていうなら別ですが、不足が問題視される現状ですから、画一的でもなんでも、とにかく何とか追い付かせることが必要。理想の介護の現場が増えれば、確かに志望者が増えるかもしれませんが、やりがいや達成感だけで仕事は選べません。この人手の部分を完全に理想論で片付けたのは大失点です。 そして最大の問題が費用。世の中金が全てではありませんが、金が全てです。介護保険の適用外で理想の介護は素晴らしいことですが、その費用は誰が負担するのか。裕福でない人は利用できない理想の世界なんて、理想でもなんでもありません。この辺りの費用の問題が一切触れられずじまいでした。そりゃ私も祖母には希望通りの介護サービスをつけてあげたいし、私自身が受ける身になったら私らしさを尊重して、個別に扱われたいです。しかし、出せる費用に限度はある。社会が制度で補ってくれるんだから、これを利用しないという選択肢は申し訳ないですが理想だけの絵空事です。制度を変える努力か、費用を現実的に誰でも出せる範囲に収める努力が欲しかった。 とはいえ、人が人を面倒見る介護という職において、今この瞬間も崇高な理想をもって向き合っている人がいると思うと、少し明るい兆しが見えるように感じます。理想像だけではありますが、その理想を見ることに意味がないわけはありません。理想がなければ進歩はありえないのですから。 一人でも多くの人に、日本の介護の将来について考えてもらうきっかけとなるために、是非見て頂きたい作品です。あなたはどんな介護を受けたいですか?そのために何ができますか?今の政権はその期待に応えてくれそうですか?

  • kat********

    4.0

    ただいま それぞれの居場所

     介護について考えさせられる作品だった。ただいまと言える場所が存在することはすばらしいと感じた。介護保険制度は、制度としてはあることは良いとことだと思う。しかし、多くの人達が利用しているが、現実としては利用しやすい制度とは思えない面もある。  この作品に登場してくる施設の中で若い世代の人達が中心となって設立した施設もあり、同世代として感心した。  高齢になってからも自分らしさを保ち生活できる居場所が増えることを期待したい。

  • りゃんひさ

    5.0

    老い衰えても、フツーに暮らしていくこと

    介護保険が成立して10年目。 「画一的な介護制度に疑問を抱く有志が、それぞれ理想の介護を実現させるための施設や事業所を立ち上げた姿を追うドキュメンタリー(yahoo!ムービーより)」ということであるが、ひとは皆、老いて衰えていく、そんな中での「暮らし」を、「介護のいう言葉で括られがち」の現場に密着したドキュメンタリーです。 いやぁ、なんといってもすこぶるつきの面白さです。 この映画は、介護の現場を描いた三部作の三作品目。 前作は『よいお年を』『青葉のころ』と題して、本作品にも登場する埼玉県のグループホーム「元気な亀さん」での暮らしを追ったものでした。 既存の制度の枠組みからはみ出したところを補うようなホームの姿を追って、「老いることも、悪くないかも」とおもった作品でした。 さて、この映画では、制度の枠組みでは収まらないような現場を「元気な亀さん」を含めて、4つのホームのありのままの姿を描いていきます。 「あいのままの」というと、「介護の現場だから、当然、修羅場だよね」なんて想像するかもしれませんが、そんなことはありません。 たしかに「汚れ仕事」はありますし、「枠に収まらない」仕事だってあります。 人生の先輩方も、まるで子供に還って、ごねたり無茶をいったりもします。 でも、よく考えれば、普段わたしたちが行っている仕事だって、無理や無茶や無理難題や汚れ仕事がほとんどです。 「経済」「ビジネス」という、なんだか判ったような、その実、判らない尺度で、誤魔化されている分だけ、性質(たち)が悪いかもしれません。 この映画に登場するひとびとは、無理や無茶や無理難題や汚れ仕事を、そんな「経済」「ビジネス」の尺度では考えてません。 もっと根源的な、「生きる」という尺度で捉えています。 だって、ひとは皆いつしか老いるのだし、それまでがんばってきた分、無茶や無理もいうだろうし・・・ そういう観点で「暮らしている」映画なのです。 そして、そういう暮らしを選んだのが、まだ、30代のひとびとだということです。 おっと、なんだが美辞麗句を並べるようなことになったのですが、この映画、心根の部分だけではありません。 登場するひとびとが魅力的なのです。 介護する側も、される側も。 (というよりは、暮らす場所を提供する側も、される側も、というのが適切かも) 徘徊癖があり、7つの施設を追い出された女性。 彼女は、ただ、興味のあるところを巡っていただけ。「元気な亀さん」へ入所して2ヶ月、スタッフが毎日毎日ついてあげたら、その後ピタリと収まった。 いつも、愉しく踊って、周囲を和ませてくれています。 幼少のころ(戦前)、パラオで暮らしたという老人。 塗装業を引退した今でも、塗装業に精を出していると、時折、混濁します。別居した老妻との再会の場面が可笑しい。 「どちらさまでしたっけ?」 でも、すぐに気づいて、仲睦まじい。 夫と息子を亡くして、いつでも申し訳なさがっている老女。 80歳を過ぎても、口跡がシッカリとしていて、詫びる言葉がバカ丁寧で、なんだか滑稽。 30歳の若い男性スタッフ。 時折、自分の居場所が判らなくなる老女から、ポカポカ殴られても、「混濁している彼女の意識が正しいんだよね、周りが彼女にとっては嘘なんだよね」と。 ホームでは、年配の人々のケアをしているけれど、自宅へ帰るとビックリ。 90歳を越えた祖父と二人暮し。 この祖父が元気なものだから、彼は「じいちゃんに養ってもらってます」という。 映画の撮影期間中に結婚した。 その後は「妻とふたり、じいちゃんに養ってもらってます」とのこと。 まだ、老いて衰えるまでには少し間のあるわたしですが、でも、そのあたりまで迫ってきているのは事実。 「介護」という言葉で括って、「他人事」にしてしまうことには抵抗があります。 「介護」という言葉が、老い衰える前と後の暮らしを線引きしたようにも思えます。 老い衰えても、「フツーに暮らしていく」ってことを、しみじみ感じました。 評価としては、★5つです。 なにせ、すこぶる面白いドキュメンタリーですから。

スタッフ・キャスト

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基本情報


タイトル
ただいま それぞれの居場所

上映時間

製作国
日本

製作年度

公開日