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ザ・コーヴ (2009)

THE COVE

監督
ルーイー・サイホイヨス
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  • みたログ 279

2.29 / 評価:262件

史上最悪のアカデミー賞

  • エンタメ至上主義 さん
  • 2010年3月10日 0時27分
  • 閲覧数 1671
  • 役立ち度 1017
    • 総合評価
    • ★★★★★

公開はまだ先だけど、
和歌山の小さな町の漁師を犯罪組織かのように扱った映画が
アカデミー賞を取ったというニュースで、
一体どんな内容なのか気になる人が多そうなので報告してみる。

   *     *     *     *

「この小さな町には重大な秘密がある」
あたかもこれから重大犯罪を暴くぞ的な仰々しいセリフから始まる。
町が闇で重大な犯罪を隠しているような雰囲気が醸し出される。

しかし町の人は旅館で彼らに最初に尋ねている。
「貴方たちはクジラやイルカ漁に対する反対活動をしにきたのですか?」

そうだ。隠してないのだ。
イルカ漁していると自然に言っている。
そりゃそうだ。
イルカ漁をしていることを隠す必要はない。
国際的にも国内的にも合法だからだ。
だから普通に質問してる。

制作者たちはなんと「違うよ」と答える。
は?
なんと、自分達がやっていることを包み隠して
嘘をついているのは町の人々ではなく制作者たちの方だ。

そして、問題の盗撮場面だが、
まるで007かミッションインポシブルのようなスリリングな演出。
なんだよ、その大げさな音楽は?
そのカッコいい演出は何ゆえ?
相手は麻薬密売マフィアじゃないぞ。
単なる一般庶民だぞ、何の戦意もない丸腰の漁師たちだぞ。
無邪気にクジラの絵を背中に描いたハッピを着て働いてるし。
ただ生活するために漁を生業にして懸命に働く労働者にすぎない。

  *     *     *     *

イルカの血で真っ赤に染まる入り江。
そりゃあ、ショックを受けるさ。
多数の動物が虐殺される映像なんか、
どれを見ても衝撃的に決まっている。
別にイルカでなくても、
カンガルーでも、ウサギでも、牛でも、ブタでも、
どんな動物だって血だらけで断末魔の悲鳴をあげる姿は
可哀想で可哀想で正視できないよ。

大体、他の生物種の命を奪って食しているのが罪なら、
人間だけじゃないよ。
全ての生物だよ。
全生物が食物連鎖の中で食って食われて生きている。
その中のごく一部の日本人とイルカの関係だけを、
ことさらに特別に取り上げて大騒ぎするなんてメチャクチャだ。

イルカは賢くて可愛い動物だ?
バカで不細工な動物は殺してもいいのか?
だから世界中の原住民を抹殺してOKだったのか?
だから原爆で日本人を大量虐殺しても正義だったのか?

本作は極めてアンフェアで卑怯な手法だ。
社会派映画というのは扱う題材が事実かどうかだけではなく、
≪どの事実をどういう角度で見せるか≫が重要なのだ。

   *     *     *     *

その点では、奇しくも『ハートロッカー』にも
まったく同じことが言える。
同作のハイライトの一つだと思われる、
イラク人との間で長距離射撃合戦を行うシーン。
長時間膠着状態で、のどが渇いたり、ハエが目に入ったりとか、
「兵隊さんの仕事はこんなにしんどいんだよ」っていう描写だ。
だが一方で相手側のイラク人たちは、
≪テレビゲームのような単なる射撃の標的≫として
写し出されているに過ぎない。
本当に悲惨なのは、撃ち殺されたイラク人やその遺族のはずなのに。

そもそもだな。
無抵抗の国に軍隊を送り込んでおいて
抵抗する現地人を「テロリスト」と呼ぶのってひどくないか?
命をかけて爆弾解除って、
イラクからさっさと出て行けばそれで済む話だよね。
ふざけてるよな、まったく。
まあいいや、
その辺は『ハートロッカー』レビュでぶちまけたる。

   *     *     *     *

ちなみに、本作では水銀がイルカに蓄積している事を持ち出して、
「日本人にとってもイルカを食べるのは危険なこと」と、
もっともらしい理屈をとってつけている。
はっきり言って、そんなのは仮面だ。
姑息な偽善仮面だ。

水銀値が高いというだけならクジラやイルカだけじゃなくて、
エイ、キンメダイ、カジキマグロ、メバチマグロ、
紅ズワイガニ、カジキ、ハンペン、クロムツ、アコウ・・。
みんな同じくらい水銀値が高い。

水俣病みたいな極論を引っ張り出してきて、
「日本人も真実を知る権利がある!」だなんて、
ヘソを通り越して、チンコも通り越して、お尻の穴が笑う。
もしもマグロを食って水俣病のような危険があったら、
イルカどころの騒ぎじゃないわいな。

   *     *     *     *

勝手にイラクに軍隊を送り込んで必死に抵抗する現地人を
「テロリスト」扱いする『ハートロッカー』。
自己流の正義感をふりかざして小さな町の素朴な漁師たちを
「犯罪組織」扱いして世界に晒す『ザ・ケイブ』。

「アカデミー賞って一体何物?」
と考え込んでしまうのは俺だけではあるまい。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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