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お家に帰りたい

お家に帰りたい

I WANT TO GO HOME

105

bakeneko

5.0

ネタバレミシュリーヌ・プレール70歳の色香♡

「人生は小説」で、新鋭のバンデシネ作家:エンキ・ビラルとのコラボを見せたアラン・レネが再び漫画を題材にして、アメリカとフランスの相互憧憬とカルチャーギャップを描いた作品で、脚本をアメリカの漫画家で「愛の狩人」の脚本家でもあるジュールス・ファイファーが担当しています。 嘗て人気のあったアメリカの漫画家ジョーイ(アドルフ・グリーン)は、フランスでの国際コミック・アート展に招聘され、恋人リーナ(リンダ・ラヴィン)とパリにやって来る。彼の本当の目的は軽薄なアメリカ文化と父を嫌ってパリに留学して音信不通の別れた妻との娘エルシー(ローラ・ベンソン)に会う為で、外国嫌いのジョーイは行きの飛行機内から既に「家に帰りたい」と繰り返していた。パリでの久々の再会でも父娘の確執は埋まらなかったが、ジョーイはアート展の主催者のアメリカン・コミックファンのフランス人教授ゴーティエ(ジェラール・ドパルデュー)の好意で彼の母イザベル(ミシュリーヌ・プレール)の田舎の屋敷に招かれる。ゴーティエの生徒で修士論文を読んでもらいたいエルシーも屋敷に紛れ込んで…という“巴里のアメリカ人”パターンの“お上りさんカルチャーギャップ”喜劇で、「アメリカの伯父さん」でアメリカに憧れるフランス人の幻想願望を描いたアラン・レネが本作では、フランスに憧れたアメリカ娘の蹉跌と、アメリカ的な男とフランス女性の融和を活写してゆきます。 アメリカとフランス文化風俗の水と油的な違いで笑わせながら、しっかりとした人間賛歌に落ち着く心地よい狂騒劇で、アニメーションと実写の合成作劇や実際に原画を提供している当時のフランス&アメリカの漫画作家の絵も賑やかですよ! ねたばれ? 劇中であんなにキャラを描いて、ディズニーやハンナ&バーバラ、etcから肖像権の訴追はなかったのかな? おまけー本作でも協力していた、バンデシネ作家:エンキ・ビラルの絵を用いてアラン・レネが作った映画の紹介を… カブトガニの振り子時計が素敵! 「人生は小説なり:La Vie est un roman」(1983年 フランス 111分)監督:アラン・レネ 出演:ヴィットリオ・ガスマン、ルゲロ・ライモンディ、ジェラルディン・チャップリン、ファニー・アルダン、ピエール・アルディティ、サビーヌ・アゼマ 当時新進気鋭だったバンド・デシネ作家のエンキ・ビラルの作品:“La Vie est un roman”に題名を採ったアラン・レネの作品で、第一次世界大戦時と現代(1980年代)を交錯させて、更に現実と空想世界を混濁させた恋愛スクランブルを描いてゆきます。 第一次世界大戦前夜に夢想家が壮大な建築を始めたが、戦争で規模が縮小され今では学校になっているー不思議な館で全国の教員が集まって発表会議が開かれる。参加者の様々な思いと子供たちの幻想冒険世界が交錯する館&森中で、70年前の館主と招待客の奇妙な試みも並行して語られる―という、「真夏の夜の夢」パターンの作品で、一次世界大戦エピソードのヒロイン:ファニー・アルダンと現代編のヒロイン:サビーヌ・アゼマが対照的な華を見せていますし、ジュラルディン・チャップリンも独特な存在感を出しています。 後のアラン・レネ作品「恋するシャンソン」、「巴里の恋愛協奏曲」の嚆矢となるー“ミュージカル風味”を効かせた初めての作品でもあり、なかなか美しい楽曲とコーラスが楽しめる映画で、サビーヌ・アゼマも可愛らしい声を聴かせてくれます。 同じく複数の次元を交錯させた「去年マリエンバートで」や「プロビデンス」に比べてちょっと作劇的緊張と統一感に欠けますが、その分複雑な物語転換に気を採られることなくファンタジー恋愛譚を愉しめる作品で、34歳のサビーヌ・アゼマの超絶可愛らしさはフランス女性ならではですよ♡(彼女は後(1998年)にアラン・レネと結婚し最期まで添い遂げています&今も現役!) ねたばれ? みんなが歌い捲くる一次世界大戦エピソードで唯一歌わない館の主:ミッシェル(ルゲロ・ライモンディ)の本業はオペラ歌手だそうです(マリア・カラスが主演しながら全く歌わなかった「王女メディアの様な逆転演出ですな)。

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