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必死剣 鳥刺し (2010)

監督
平山秀幸
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3.67 / 評価:700件

解説

藤沢周平の時代小説「隠し剣」シリーズの中でも、現代に通じる傑作と名高い「必死剣鳥刺し」を『しゃべれども しゃべれども』の平山秀幸が映画化。剣豪であるがゆえに、過酷な運命に翻弄(ほんろう)されていく武士の心情が描かれていく。悲運の剣豪・兼見三左ェ門を演じるのは豊川悦司。三左ェ門の亡き妻のめいでありながら、彼にひそかな思いを抱く女性・里尾を池脇千鶴が演じる。観る者の心を揺さぶるし烈なクライマックスまで、目が離せない。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

江戸時代、海坂藩の近習頭取・兼見三左ェ門(豊川悦司)は、藩主・右京太夫(村上淳)の失政の元凶である愛妾(あいしょう)・連子(関めぐみ)を3年前に城中で刺し殺すものの、寛大な処分によって再び藩主に仕えることに。亡妻・睦江(戸田菜穂)のめいであり、身の周りの世話をしてくれる里尾(池脇千鶴)との日々の中で生きる力を取り戻すが……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

 (C)2010「必死剣鳥刺し」製作委員会
(C)2010「必死剣鳥刺し」製作委員会

「必死剣鳥刺し」往年の名作の記憶が随所に息づいている精緻な時代劇

 平山秀幸の映画はかつての撮影所の匂いがする。奇矯なカメラアングルや編集テクニックを誇示したりせずに、つまりはこれ見よがしな作家的個性や主張を自ら禁じ、匿名性に徹しながら、与えられた素材を丁寧に腑分けし、精緻な完成作として観客に供するという邦画黄金期のプログラム・ピクチャーの職人芸を堪能させる、近頃、稀有な監督なのだ。藤沢周平の原作による本作も、往年の時代劇の記憶が随所に息づいている。

 冒頭、能楽堂で海坂藩主右京太夫の愛妾を藩士三左エ門(豊川悦司)が刺殺するシーンが置かれ、映画は、なぜ彼がそのような行為に至ったかを執拗にフラッシュバックさせ、<現在>と併走させる。一見、バランスを欠くこの語り口は、ラストの壮絶な殺陣へと凝縮させるための緩やかな迂回と思えば、得心が行く。似たような劇構造を持つ工藤栄一の「十三人の刺客」が想起されるが、そういえば、あの名作の馬鹿殿・菅貫太郎と本作の女色に耽る藩主・村上淳は瓜二つのキャラクターである。

 鳥刺しとは<その秘剣が抜かれる時、遣い手は半ば死んでいる>と説明される。実は、三左エ門は、意想外に寛大な処分を受けた瞬間から、<半ば死んだまま>の宙吊りの状態に幽閉されてしまうのだ。そして、藩体制を堅持するために周到に仕組まれた悲劇に向けて身を投じる以外、もはや逃れる術はない。冷徹で不気味な存在感を発揮する中老・岸部一徳と、農民の惨状を藩主に直訴する別家・吉川晃司の苦み走った好演がひときわ印象に残る。(高崎俊夫)

映画.com(外部リンク)

2010年7月8日 更新

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