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おのぼり物語 (2010)

監督
毛利安孝
  • みたいムービー 27
  • みたログ 87

3.45 / 評価:42件

「これからドンドンいそがしくなる」

  • mitubajusiro さん
  • 2019年10月21日 3時44分
  • 閲覧数 179
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

大阪人が東京に出て「都会だなあ、大きな町だなあ」と思うのは相変わらずのようだ。携帯電話が普及していた時代でも、
「あ、東京タワーだ!」
と無邪気に感動する。

歴史や文化伝統の面からいえば大阪人が田舎ものであるはずはない。
ことに主人公のような漫画家という浮世ばなれした職業にあこがれるものにとって東京はいまや隔絶した川上(かわかみ)の存在である。
今昔かわらぬ若者の希望と挫折が描かれている。

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途中と最後に登場する雑誌編集者の個性がすばらしい。
「〇〇さん(主人公の名前)はこれからドンドンいそがしくなる(出世する)と思うなあ・・・うん」
主人公が売りこみの漫画原稿を見せた時の決まり文句である。
口から出まかせ。適当。その場をやり過ごしてすぐにケロリと忘れる。そうやって都会を泳いでゆく。よくあるタイプの人物だ。

やっと底から這いあがる光が見えた主人公が再びその編集者に原稿を売り込むのがラストシーンである。原稿をあっさり酷評したあと、同じように、
「〇〇さんはこれからドンドンいそがしくなると思うなあ・・・うん。いや根拠はないんだけど、なんとなくね」
それを聞いて主人公は腹の底から笑いがこみあげてくる。偽りの喜びでもいい。そうやって明日につなげて都会を生き、浮世を歩むしかない。覚悟を得た安堵感なのか。それを見て編集者も笑い出す。一連托生、一期一会。二人の笑いが長々と続く。

この編集者の登場が強いコントラストをもたらし、作品の質を1ランク上げている。

詳細評価

物語
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