ここから本文です

十三人の刺客 (2010)

監督
三池崇史
  • みたいムービー 683
  • みたログ 3,864

3.66 / 評価:2394件

解説

時代劇映画の名作との呼び声も高い1963年公開の工藤栄一監督の『十三人の刺客』を、約半世紀の時を経て現代風に再構築した時代劇エンターテインメント巨編。日本を代表するヒットメーカーの三池崇史監督がメガホンを取り、江戸幕府史上最悪の暴君を暗殺するため、13人の刺客たちが命を懸けた一世一代の戦いを挑む。主演の役所広司を筆頭に、稲垣吾郎、松方弘樹、市村正親、松本幸四郎ら豪華キャストの共演も見逃せない。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

幕府の権力をわが物にするため、罪なき民衆に不条理な殺りくを繰り返す暴君・松平斉韶(稲垣吾郎)を暗殺するため、島田新左衛門(役所広司)の下に13人の刺客が集結する。斉韶のもとには新左衛門のかつての同門・鬼頭半兵衛(市村正親)ら総勢300人超の武士が鉄壁の布陣を敷いていたが、新左衛門には秘策があった。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2010「十三人の刺客」製作委員会
(C)2010「十三人の刺客」製作委員会

「十三人の刺客」凄絶な命懸けの戦いにリアリティを与える「悪」の造形

 何かとラスト50分のバトルばかりに注目が集まりがちだが、本作の真価はそこではない。確かに13人対300人という荒唐無稽に思える集団抗争は、単なる斬り合いを超え、仕掛けあり肉弾戦ありで娯楽マインドが炸裂する。あくまでも今風の芝居を貫く役所広司や山田孝之。東映時代劇の型を継承し流麗な殺陣で魅せる松方弘樹。脚本担当の天願大介の父・今村昌平作品を彷彿とさせる土着性を感じさせ、侍という特権階級を対象化する“山の民”伊勢谷友介。多様なキャラクターが入り乱れ、カオス状態によってこそ三池ワールドは生彩を放つ。惜しむらくは13人のうち5、6人の彫り込みは浅く、長丁場を一気に運ぶ生理も希薄だが、名誉の戦は阿鼻叫喚の図に到り、武士の矜恃に向ける冷ややかな視線は興味深い。

 では肝は何か。傑作の誉れ高いオリジナル版を蘇生させ、凄絶な命懸けの戦いにリアリティを与えたもの、それは「悪」の造形に他ならない。稲垣吾郎扮する権力者は、現代の病が結晶化した姿だ。庶民を捕まえては無表情に繰り返す陵辱と殺戮。誰でもよかったと言わんばかりに残虐非道の限りを尽くし、太平の世に生の証しを求める。虚無の果てに到達する狂気。討たねばならぬ存在として、国民的アイドルのメンバーの一員を抜擢したことは快挙といえる。これは決して“時代劇版「クローズZERO」”ではない。原作ファンやティーンへの媚びへつらいが常態化した日本映画の製作環境にあって、仄かな希望を抱かせる事件をゆめゆめ見逃してはならない。(清水節)

映画.com(外部リンク)

2010年9月16日 更新

本文はここま>
でです このページの先頭へ