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THE LAST MESSAGE 海猿
2010年9月18日公開

THE LAST MESSAGE 海猿

1292010年9月18日公開

shi********

3.0

良作力作なんだが、売り方に壊された作品

ドラマと1作目は観ていない。 2作目は鑑賞したが好きな作品ではない。 つまり特に思い入れはないので、さほど期待せずに鑑賞した。(3Dは好きではないので2Dにて鑑賞) なかなか良く出来てるではないか。 まずはアイディアの勝利と言える。 天然ガスプラントの事故。 ほとんど例がない災害ゆえ、どの程度リアリティがあるが判断できない。 事故が起こった過程や状況も理解しやすい。 極限状況の人間模様も安易ではなく、うまく描いている。 例えば今回「バディ」となるキャリア2年の服部。 ある場面では怖じ気づいてまるで役に立たない。 そんな彼を仙崎はむやみに責めず、他の要救助者に悟らないようにする。 その要救助者の中に女性がいるのは映画ならではだが、パニック映画お約束の「事態を悪化させるバカ女」ではなく、吹石一恵も好演している。 一般の見学客や迷い込んだ子供や犬など、多彩な(キャストありきな)キャラクターを揃えてしまい失敗してしまうのが日本映画の典型だが、そんなリスクを排した設定も好感が持てる。 しかし、終盤の展開がどうも気に入らない。 新たな危機が迫るのはわかる。 台風をやり過ごすだけでは映画にならないだろう。 詳しくは述べないが、気になるのは彼らが生き残るために取る手段だ。 別の選択肢もあるのではないか。 つい先日も救助に向かったヘリが墜落するという事故もあり、その危険性は重々承知なのだが。 その辺りは本作がウリにしている宣伝方法と関係しているのか。 本作の宣伝は仙崎の死を予感させるものだ。 「命を懸けて挑む」という意味なら構いはしないし、「完結編」と銘打つならば、このタイトルも構いはしない。 ただし「最期」という言葉を使っている点には苦言を呈したい。 この言葉は「死」を表すものだ。 仙崎の生死については明言しない(ように書く)が、察しのいい方やその点に興味を持ちながらこれから鑑賞しようとする方は、ここから先は読まない方がよろしい。 仙崎の生死について煽り立てる、つまりいかにも「死にますよ」という宣伝手法を取らずとも、この作品はヒットするだろう。 本作はそんな煽りなしでも十分見応えのある作品だ。 しかしその煽りに応える形であの展開に持っていったとしたら、映画として悲しいことだ。 仮に生き残ったとして、拍子抜け感、釣られた感を覚えてしまえば、次にまた映画に運ぶ足も重くなるだろう。 死んだら死んだでネタバラシ感を味わうかもしれない。 これだけヒットする作品の主人公の生死を、公開後も伏せるのは困難ではあろうが。 この宣伝の「効果」かどうかは別にして、劇場に足を運んだ方々は多いようだ。 だが「どうせ死なないんでしょ」と見透かして「来年あたりのテレビ放映かDVDでいいや」となった方も多いのではないか。 テレビの視聴率が下がる一方なので、テレビ局が映画で収益を確保しようというのことは、映画ファンとしては喜ばしいことだ。 上質なものを作ってくれればの話だが。 客を裏切り、その場しのぎの収益だけを食いあさる、「踊るなんとか」や(ちょっと古いが)沈没しない「日本沈没」のような背信的愚作があるのも事実。 とは言え「SP」には大いに期待している。 「残念だよ。本当に残念だよ。」と言わせないようお願いしたい。

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