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雷桜 (2010)

監督
廣木隆一
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3.02 / 評価:546件

殿という名のお姫様

  • TとM さん
  • 2018年8月23日 0時25分
  • 閲覧数 1263
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

時代劇と言うより、殿と山娘の青春ラブストーリー。
主演の蒼井優と岡田将生は独特の存在感のある俳優なので、遊と斉道のキャラクター造形に立体感が出てとても良かったと思う。

ただ、観ている時に少し違和感を感じた。時代劇には珍しい手持ちカメラのショットが多いからかと思っていたが、どうやらその違和感の正体はキャラクターの役割にあるようだと気がついた。

ストーリーは「身分違いの恋」なのだが、興味深いことに男女の役割が逆転しているのである。
深窓の姫君=将軍の息子・斉道と、姫に恋する野生児=瀬田山の天狗・遊。そう思って観ると、かなり色々合点がいく。

跡継ぎではないが身分だけは高い斉道は、政治的にも気性の面でも厄介者。父である将軍も持て余し気味だ。
斉道の価値なんて、分家との関係強化の駒くらいしかない。嫁ぎ先の家柄で価値が決まる貴族の娘と同じ立場だ。
才気煥発な子どもだったら違う評価もあっただろう。母はそれを斉道に求めたが、期待に応えられなかった斉道は絶望し壊れていく母親を見ていることしか出来なかった。
自己肯定感を得られず、心を病み、「うつけ」と陰口を叩かれる。不機嫌で我が儘なお嬢様。

そんな斉道が出会う遊は山育ちの破天荒。遊の価値観の前では、斉道は斉道。
遊の前では自分が存在しているだけでいい。その居心地の良さは、斉道が初めて感じる解放感だっただろう。

遊との再会を約束した斉道だったが、紀州へ婿養子に出されることになる。
遊に解放を与えられても、どうにもならない「将軍の息子」というアイデンティティー。結局どこか「良い家」に嫁がなくてはならないお姫様と同じだ。

信頼出来る従者に協力を頼み、愛する人の元へと駆けつける斉道。己の運命を嘆く姿もお姫様っぽい。
遊と逃げる決心を一度はするものの、自分の役割を受け入れ紀州へと「輿入れ」するのも男女逆にして考えると王道の展開と言える。

実らなかった恋の思い出を最期まで大事にしている斉道は、どう考えてもヒロインである。
もし、斉道と遊の立場が逆だったら?
それを考えながら観てみたら、また違った楽しみ方も出来るかもしれない。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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